平成15年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅰ問3

問3 小規模ネットワークめ構築に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。

K社は、不動産仲介業を営む、社員が数名の会社である。パソコンの知識をある程度もっている社員のR君が、ネットワークの構築と運用を担当している。K社では、昨年から、電話回線にパソコンを接続し、ISPへのダイヤルアップ接続でインターネットを利用してきた。当初は、Webの閲覧と電子メール(以下、メールという)の利用から始めた。その半年後に、営業内容の広報のためにWebでの情報発信も始めた。これらは、ISPのドメイン名を使用したサービスによって実現されていた。1年が過ぎて、インターネットの有効性も実証されたので、ADSLの導入、外出先からの利用及びK社専用のドメイン名(以下、独自ドメインという)の利用を計画している。

〔ADSLの導入〕
導入に当たって、ADSLの利用申請を行った。開通日になって、マニュアルに従って機器の接続を完了させた。しかし、電話機は今までどおり使用できたが、ADSLモデムは電源をオンにしても通信可能な状態にはならなかった。何度も試してみたが、うまくいかないので、社長の友人でパソコンショップを営むW氏に支援を頼むことにした。
次は、R君とW氏の会話である。
W氏:ADSLモデムの表示ランプの状態を説明書で確認すると、相手側の信号は検出できているが、ネゴシエーションに失敗しているようです。この現象は、受信した信号が異常だった場合に起こります。先程、外から電話の配線を見たところ、図1に示す接続構成で遠隔監視装置が接続されていましたが、遠隔監視の会社には連絡しましたか。

R君:いいえ。連絡していません。ところで、これが何か問題なのでしょうか。
W氏:この遠隔監視装置は、電話回線に接続され、電話と同じ周波数帯域を使用して送受信を行います。図2に、ADSLの方式の一つであるDMT(Discrete Multi-Tone)のスペクトラム図を示します。多数の搬送波を用いたADSL信号は、周波数26kHzと1、104kHzの間に分布しています。一部の遠隔監視装置が、このADSL信号に対して、ノイズを発生させることがあるようです。遠隔監視の会社に連絡して、調査と対策を要請してみましょう。

遠隔監視装置の接続箇所を( c )の位置に変更した結果、ADSLモデムのネコンェーションが成功し、ADSLでの通信が可能な状態になった。

〔外出先からの利用〕
K社の社長は、会社に設置したパソコンからだけでなく、携帯電話でISPにダイヤルアップ接続できるノートパソコンを使って、外出先においてもWebの閲覧とメールの利用を始めた。期待どおりの効果はあったが、メールの受信量が多くなるにつれて、通信時間が長くなり、通信料も増大した。その改善の指示を受けたR君は、W氏に改善策を相談した。
次は、W氏の改善策の要旨である。
インターネットでメールを転送する標準的なプロトコルは、( d )である。メールは、このプロトコルで転送され、あて先のメールサーバのメールボックスに格納されるバールボックスからパソコンにメールを取り出すプロトコルには、( e )やIMAP4などがある。
外出先からの利用において時間がかかるのは、( e )を使っているからである。社長の受信メールは1日当たり60通あり、その20%に添付ファイルがある。添付ファイルは1通当たり平均300kバイトであり、添付ファイルを除く受信メールのデータ(以下、メール本体という)は1通当たり平均5kバイトである。したがって、添付ファイルの1日分の合計は、( ア )kバイトでありメール本体の1日分の合計は、( イ )kバイトである。これらの全データを取り出すための所要時間は、実効転送速度が毎秒1kバイトなので( ウ )分である。
IMAP4では、受信メールの添付ファイルを取り出さないこともできる。添付ファイルのうち、外出先で取り出す必要がないものが75%なので、その添付ファイルの合計は、( エ )kバイトになる。したがって、IMAP4を利用すると、取り出すための所要時問が( オ )分短縮できる。

R君は、ISPのメールサービスの仕様を調査し、IMAP4を利用できるように設定の変更を行い、外出先からの利用における問題点を解決した。

〔独自ドメインの利用〕
R君は、W氏に独自ドメインの導入方法を相談した。
次は、R君とW氏の会話である。
R君:独自ドメインを利用したメールや情報発信を行います。そのためには、独自ドメインを取得し、自社にサーバを設置するだけでよいのでしょうか。
W氏:K社にサーバを設置し、ADSLと( f )IPアドレスサービスを利用すれば、独自ドメインを利用することができます。しかし、データのバックアップや障害対応などの運用が大変です。
R君:サーバを自社に設置しなくても独自ドメインは使えますか。
W氏:ISPの顧客ドメインサービスを利用する方法があります。このサービスを使うと、ISPに設置されたサーバを使う場合でも、独自ドメインが利用できるようになります。
R君:その場合には、昨年から使っているISPのドメイン名を使用したメールや情報発信を、顧客ドメインサービスを利用したものに切り替えるだけで済むのですね。
W氏:いいえ。①当分の間は、現在利用しているサービスも引芋続き利用する必要があります。
R君:それでは運用が大変そうですね。ほかの方法はありませんか。
W氏:ISPの転送サービスを利用する方法もあります。このサービスでは、独自ドメインあてのメールが現在のメールアドレスに転送されます。また、ブラウザで独自ドメインを指定した場合には、現在のWebサーバを示すURLが返されます。運用上の利点としては、顧客ドメインサービスを利用する場合とは異なり、②Webサーバのデータの移動又は複写が不要であることが挙げられます。

検討の結果、K社では、転送サービスを利用して、独自ドメインを導入することにした。


設問1次の問いに答えよ。
(1)図2中の( a )、( b )に入れる適切な字句を解答群の中から選び、記号で答えよ。

解答群
ア 音声信号 イ 拡張信号 ウ 基本信号 エ 下り信号 オ 制御信号 カ データ信号 キ 上り信号
(2)本文中の( c )に入れる適切な記号を図1中から選び答えよ。
(3) 本文中の( d )~( f )に入れる適切な字句を答えよ。

設問2外出先からの利用に関する次の問いに答えよ。
(1)本文中の( ア )~( オ )に入れる適切な数値を答えよ。
(2)R君は、IMAP4を利用して、必要な添付ファイルだけを取り出すことにしたが、どのような使い方を想定したと考えられるか。IMAP4の特徴に着目して、30字以内で述べよ。

設間3独自ドメインの利用に関する次の問いに答えよ。
(1)本文中の下線①の理由を、35字以内で述べよ。
(2)本文中の下線②について、データの移動又は複写が不要である理由を、35字以内で述べよ。

この問題の解答と詳細解説はGene製作のテクニカルエンジニア(ネットワーク)平成15,16,17年度分
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詳細はこちら→http://www.n-study.com/library/2006/05/post.html

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