平成16年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅱ 問1設問2解答と解説
目次
解答
(1)【エ】 ルータ1
【オ】 ルータ101
【カ】 ルータ2
(2)サーバの名前解決で回答するIPアドレスをサーバ51~サーバ56のものに変更する(39字)
(3)通常時にDNSサーバが冗長化されるため、可用性が高い(26字)
(4)【キ】 ホスト名
【ク】 MX
【ケ】 A
解説
(1)
動的経路制御が無効になったときに静的経路情報を利用するという機能
これはフローティングスタティックのことですね。ダイナミックルーティングでの経路情報のやり取りができなくなった際に、スタティックルーティングが自動的に浮かび上がるという仕組みです。同じネットワークアドレスに対する経路をスタティックとダイナミックで学習した場合、通常はスタティックルーティングのほうがダイナミックルーティングよりも優先されます。しかし、経路情報の信頼度を表す値を変更し、優先度を逆転させることで、こういった自動切換えが可能になります。ちなみに経路情報の信頼度の呼び方は各メーカにより異なり、シスコシステムズではアドミニストレーティブディスタンス(A.D)といいます。ADは値の小さい方が優先されます。
A社のネットワークで具体的に考えてみましょう。ルータ101にはダイナミックルーティングとスタティックルーティグを両方設定しておきます。通常時はダイナミックルーティグで学習したルートのみがルーティングテーブルに登録されます。
IP-VPNのアクセス回線に障害があった場合、ダイナミックルーティングによる経路情報の学習ができなくなります。よってルーティングテーブルからはダイナミックルーティングで学習した経路が消え、代わりにスタティックルーティングで登録されていた経路が浮かび上がります。
よって【エ】【オ】は「ルータ1、ルータ101」、【カ】は「ルータ2」となります。
(2)
この問題はDNSの基本的な動作を理解していれば、さほど難しくはないでしょう。
まずは案2の通常時におけるDNSの設定は以下の通りとなります。
通常時は2つのDNSサーバで同じ設定がされています。DNSサーバ1とDNSサーバ51は冗長化の意味も果たしており、DNSサーバ1の単体障害発生時にはDNSサーバ51がバックアップとして動作することができます。もちろんPCにはDNSサーバ1とDNSサーバ51の両方を登録しておく必要があります。
災害発生時には、PCがアクセスするサーバのホスト名はそのままで、DNSがサーバ51~サーバ56のIPアドレスを回答するように変更しなくてはなりません。そのためには、DNSサーバ51の設定を以下のように変更すればよいでしょう。
案2の災害発生時の動作は以下の図のようになります。
(3)
上の(2)の解説でも書いたとおり、案2であればDNSサーバ1の単体障害時には、DNSサーバ51がバックアップとして動作するため、DNSサーバの冗長化構成になるのが大きなメリットです。
一方案1は、通常時と災害発生時で使用するDNSサーバを分ける構成のため、DNSサー
バの冗長化構成にはなっていません。その代わり、災害発生時にDNSサーバの設定変更をする必要はありません。まとめると以下の通りです。
ここでは案2のメリットを聞かれているので、30字以内でまとめると
通常時にDNSサーバが冗長化されるため、可用性が高い(26字)
となります。
(4)
DNS サーバはゾーンファイルというデータベースを持っています。そのデータベースに書かれている登録情報をリソースレコード(資源レコード)と呼んでいます。ゾーンファイルはテキスト形式で、1行で1つの対応付けが記述されています。例えば、あるドメイン名とIPアドレスの対応関係を記述するときは、リソースレコードとしてA(Adress)レコードを1行追加するということになります。
他にもリソースレコードの中でもよく使われる以下の5つについては覚えておきましょう。
SOA レコード
最初に記述するレコードです。ゾーンファイルのバージョンを管理するためのシリアル番号や、ゾーン転送の実施間隔、ゾーン情報のキャッシュ有効期間を表すTTL などを設定します。
NS レコード
NS レコードは、ドメインのDNSサーバ名を指定します。
MX レコード
MX レコードはドメイン名に対するメールサーバのホスト名を指定します。
A レコード
Aレコードは、ホスト名に対するIP アドレスを対応付けます。
CNAMEレコード
ホストに別名(エイリアス)を指定します。
【キ】【ク】【ケ】は電子メール送信に必要なDNSの設定についての質問です。では他社からA社のメールサーバに電子メールを送信する際のプロセスを簡単にまとめてみましょう。
上の②、③が問題回答のポイントです。ISPのDNSサーバでは、A社のドメイン名とメールサーバのホスト名の対応付けがMXレコードで登録され、またそのメールサーバのホスト名とIPアドレスの対応付けがAレコードで登録されることになります。
よって【キ】は「ホスト名」、【ク】は「MX」、【ケ】は「A」となります。
DNSの仕組みについて復習するには、以下のリンクからどうぞ↓
DNS その1
http://www.n-study.com/network/2001/08/dns_1.html
DNS その2
http://www.n-study.com/network/2001/08/dns_2.html
DNS その3
http://www.n-study.com/network/2001/08/dns_3.html
DNS復習問題
http://www.n-study.com/network/2001/08/dns.html
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