マルチキャストルーティングその1

マルチキャストのルーティング

さて、これまで何回かにわたってとIGMP(Internet Group Management)について解説してきました。
もう一度、簡単に振り返ると、IGMPとはルータが「自分のインタフェースの先に、どのマルチキャストグループのメンバーがいるんだろう?」ということを知るためのプロトコルです。言い換えると、ルータが受け取ったマルチキャストパケットを、そのパケットを受信したいメンバーがいるインタフェースへと転送するためにIGMPを使っているのです。

では、こんなネットワークを考えてみます。

マルチキャストを送信するサーバ(Sender)とそのマルチキャストを受信する受信者(Receiver)との間にたくさんのルータが存在しているというネットワークです。

IGMPは、この図のルータBがどのインタフェースの先にReceiverがいるかということを管理しています。そして、Senderは単純にマルチキャストのパケットを流しているだけです。Senderが流しているマルチキャストパケットを受け取ったルータAは、なんとかしてReceiverを管理しているルータBにパケットを転送してあげなくてはいけないです。

ルータ間でマルチキャストパケットを中継することが、「マルチキャストルーティング」です。マルチキャストルーティングによって、SenderとReceiverが離れていても、マルチキャスト通信ができるようになります。

マルチキャストルーティングでよく使う言葉

まず、マルチキャストルーティングでよく使う言葉について紹介しましょう。マルチキャストの本とかを読むとき、いろんな言葉が出てくるので混乱してしまいがちなので、最初に言葉に慣れ親しんでおきましょう。(このことは、どんな技術を勉強するときでも同じですね。最初に、その技術に関連する言葉に慣れ親しめば、理解しやすくなります)

マルチキャストルーティングでは、次のような言葉がよく使われます。

  • Sender(Source)
    マルチキャストパケットを送信するホスト
  • Receiver
    マルチキャストパケットを受信するホスト
  • ファーストホップルータ
    Senderに直接接続されているルータ
  • ラストホップルータ
    Receiverに直接接続されているルータ
  • 上流
    マルチキャストパケットの送信元に向かう方向
  • 下流
    マルチキャストパケットの送信先に向かう方向
  • マルチキャストルーティングプロトコル
    マルチキャストルーティングで利用するプロトコル。PIM(Protocol Independent Multicast)が一般的
  • ディストリビューションツリー(配布ツリー)
    マルチキャストルーティングプロトコルによって構成される、マルチキャストパケットの経路
  • Sparse(スパース)モード
    マルチキャストルーティングプロトコルの動作のモードのひとつ
  • Dense(デンス)モード
    マルチキャストルーティングプロトコルの動作のモードのひとつ

図で説明すると、次のようになります。

下の4つはまだわかりにくいかもしれませんが、次回以降、概要をつかめるように解説していきます!

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