階層型IPアドレッシング

ルート集約を効率よく行うためには、階層型IPアドレッシングを考えます。階
層型IPアドレッシングとは、ある特定のネットワークの集合に対して連続的な
アドレスを割り当てていくことです。これは、きわめて常識的なことですね。
たとえば、ある拠点のLANに10個のサブネットが存在すれば、各サブネットに
対して

192.168.1.0/24
192.168.2.0/24


192.168.10.0/24

というように連続したネットワークアドレスを割り当てていきます。

階層型IPアドレッシングによって、各ネットワークアドレスのビットの共通部
分がよくわかります。そのため、ルート集約を行いやすくなります。ルート集
約は、複数のネットワークアドレスの共通のビット部分までサブネットマスク
を左にずらすからです。

大規模ネットワークでは、ルート集約をきちんと考える必要があります。その
ための前提として階層型IPアドレッシングを行う必要があります。

階層型IPアドレッシングの例

次のようなネットワーク構成で、階層型IPアドレッシングの例を考えましょう。

本社と支社1、支社2の拠点を広域イーサネットで接続しています。本社LANに
は20個のサブネットとサーバファームがあります。また、インターネットに接
続するためにR1とISPが接続されています。FWでDMZを構成し公開サーバを設置
しています。FW、DMZ、R1の部分はISPから割り当てられたグローバルアドレス
を使います。支社1、支社2のLANはともにサブネットが10個あります。

※物理的な機器の接続や機器の構成はかなり簡略化しています。

前述のとおりFW、DMZ、R1はISPから割り当てられたグローバルアドレスを使い
ますが、ほとんどの場合、必要最低限の数のアドレスしか割り当てられません。
VLSMによって、グローバルアドレスの無駄を極力抑えたアドレッシングを考え
ます。

残りはプライベートアドレスでアドレッシングします。プライベートアドレス
には、クラスA、クラスB、クラスCのアドレスがあります。たくさんの拠点が
あるような場合は、クラスAのプライベートアドレスが使いやすいでしょう。
クラスAのプライベートアドレスは10.0.0.0/8です。2オクテット目以降を自由
に使えます。
階層型IPアドレッシングによって、拠点ごとに連続したアドレスを割り当てま
す。クラスAのプライベートアドレスで2オクテット目に拠点を識別する数字を
アドレスの中に埋め込むと簡単に階層型IPアドレッシングになります。

たとえば、この例では、本社は10.1.0.0、支社1は10.2.0.0、支社2は10.3.0.0
という具合に2オクテット目で拠点が識別できるようにします。すると、各拠
点内のサブネットはすべて2オクテット目まで共通のネットワークアドレスに
なるので、集約を考えるのも楽です。

3オクテット目以降で、拠点内の各サブネットを識別できるようにすればいい
のですが、ここで無理にVLSMでアドレスの無駄を少なくしようと考えなくても
いいです。プライベートアドレスは十分な数のアドレスを利用できるので、ア
ドレスの無駄を気にするよりも、わかりやすさのほうが重要です。FLSMでサブ
ネット全部で共通のサブネットマスクを考えて、わかりやすいアドレッシング
を行います。
以上を考えると本社では、次のようなアドレッシングになります。

[本社]

  • 本社LANのサブネット
    10.1.1.0/24~10.1.20.0/24
  • サーバファーム
    10.1.100.0/24

[支社1]

  • 支社1LANのサブネット
    10.2.1.0/24~10.2.10.0/24

[支社2]

  • 支社2LANのサブネット
    10.2.1.0/24~10.2.10.0/24

あと、広域イーサネットのサブネットもネットワークアドレスを考えます。こ
の部分もわかりやすくなるようにアドレスを決めてください。たとえば、
10.0.0.0/24などです。

ルーティングテーブルは?

実際にIPパケットをルーティングするためには、ネットワーク上の各ルータに
必要なネットワークアドレスに対するルート情報が載せられていなければいけ
ません。これまでにも、何度か述べているとおり、階層型IPアドレッシングに
よってルート集約を効率よく行い、ルーティングテーブルの情報をシンプルに
することができます。

各拠点のルータ(レイヤ3スイッチ)は、拠点内の各サブネットに対しては詳細
なルート情報を持つようにします。他の拠点のサブネットは集約したルート情
報を持つようにすればルーティングテーブルがシンプルになります。
スタティックルーティングであれば、集約した形のルート情報を設定します。
ダイナミックルーティングであれば、利用しているルーティングプロトコルに
応じた集約の設定をしましょう。

本社のSW1のルーティングテーブルの例をあげましょう。

本社 SW1 ルーティングテーブル

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
10.0.0.0/24   [Connected]
10.1.1.0/24   [ネクストホップ]
10.1.2.0/24   [ネクストホップ]
:
:
10.1.20.0/24  [ネクストホップ]
10.1.100.0/24 [ネクストホップ]
10.2.0.0/16   SW2
10.3.0.0/16   SW3
0.0.0.0/0     FW
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

※本社内サブネットのネクストホップの詳細は省略しています。

本社内のサブネットについては、集約していない/24のネットワークとしてル
ーティングテーブルに載せられています。支社1、支社2にはそれぞれ10個のサ
ブネットがありますが、集約して10.2.0.0/16と10.3.0.0/16のみをルーティン
グテーブルに載せています。
最後のデフォルトルートは、インターネットに接続するためです。

同じように考えると、支社1のSW2、支社2のSW3のルーティングテーブルは次の
ようになります。

支社1 SW2 ルーティングテーブル

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
10.0.0.0/24   [Connected]
10.2.1.0/24   [ネクストホップ]
10.2.2.0/24   [ネクストホップ]
:
:
10.2.10.0/24  [ネクストホップ]
10.1.0.0/16   SW1
10.3.0.0/16   SW3
0.0.0.0/0     SW1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

支社2 SW3 ルーティングテーブル

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
10.0.0.0/24   [Connected]
10.3.1.0/24   [ネクストホップ]
10.3.2.0/24   [ネクストホップ]
:
:
10.3.10.0/24  [ネクストホップ]
10.1.0.0/16   SW1
10.2.0.0/16   SW2
0.0.0.0/0     SW1
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