平成14年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅱ 問2設問2 解答と解説

目次

解答

(1)データの回復処理が増分バックアップよりも簡単であるため。(28字)

(2)遠隔地バックアップはサービス停止時間を短時間に抑えるためで、データの保護ではないから。(43字)

解説

(1)
ネットワーク技術とは直接関係ないのですが、データのバックアップは信頼性のあるシステムを構築する上では非常に重要です。

バックアップの方法で、フルバックアップはわかりやすいですね。すべてのデータをバックアップします。フルバックアップしておけば、もしも障害が発生して、データが破壊されたとしてもフルバックアップした時点に回復することができます。
ただし、当然のことながらフルバックアップを行うには時間がかかります。そこで運用上は、この問題のように週末や月末といった単位でフルバックアップを行い、そのほかの日は変化分バックアップを行います。

変化分バックアップは問題文にもあるとおり、

・増分バックアップ
・差分バックアップ

にわかれます。文字だけを見た場合、よく似ていて、違いがわかりにくいのですが、バックアップの対象と回復処理に違いがあるのだと思ってください。

まず、バックアップ対象についてみていきます。
増分バックアップでは、バックアップ対象は前回のバックアップから変更があった場合です。この問題の運用のように、平日に毎日増分バックアップを行うときは、その日の変化分だけがバックアップ対象になります。

一方、差分バックアップのバックアップ対象は、フルバックアップからの変化分です。この問題は土曜日にフルバックアップをしています。すると、水曜日のバックアップは、月曜日、火曜日、水曜日の変化分が対象となります。

増分バックアップと差分バックアップのバックアップ対象をグラフで表すと次のようになります。

次に、データを回復するときに処理について考えてみましょう。
不幸にして、木曜日にシステムに障害が発生してデータが失われてしまったとします。このとき、水曜日が終わった時点のデータを回復する処理を考えます。

増分バックアップでは、まず前の週の土曜日のフルバックアップデータからデータを回復します。そして、月曜日のバックアップデータから月曜日の変化内容を回復し、火曜日のバックアップデータから火曜日の変化内容を回復し、水曜日のバックアップデータから水曜日の変化内容を回復しなければいけません。フルバックアップ分のデータとその前日までのバックアップデータを順番に回復していかなくてはいけません。

差分バックアップでは、最初は同じく前の週の土曜日のバックアップデータからデータを回復します。そして、水曜日のバックアップデータからデータを回復します。水曜日のバックアップデータには、月曜日と火曜日と水曜日の変化内容がすべて入っているからです。
つまり、フルバックアップ分のデータとその前日のバックアップデータだけで回復することができます。

以上から、差分バックアップを利用する理由として、

データの回復処理が増分バックアップよりも簡単であるため。(28字)

が考えられます。

(2)
システムの災害対策についての問題です。流行の言葉でいうと、ディザスターリカバリーってやつですね。いろんなiDCにおいて、ディザスターリカバリーサービスが提供されています。

この問題ではディザスターリカバリーとして、遠隔地バックアップを行っています。iDCを運用しているB社の首都圏iDCと関西iDCの2箇所にシステムをハウジングして遠隔地バックアップしています。
でも、遠隔地バックアップをしても通常のテープメディアによるバックアップは必要です。その理由は、バックアップの目的が異なるからです。

テープによるバックアップの目的は問題文より、

バックアップが週1回なので、1週間分の変更データが失われる危険性がある。

ので、この変更分を失わないようにするためです。

一方、遠隔地バックアップの目的は

災害対策としては、遠隔地バックアップが効果的であると考えられる。幾つかの遠隔地バックアップ方式の中でも、同一システムを遠隔地に設置してシステム全体をバックアップする方法が、サービス停止を短時間に抑えることができる

とあるように、サービス停止時間を短時間に抑えることです。

遠隔地バックアップを検討する前にも、RAIDによってサービス停止時間を短くするように考えているのですが、地震や停電などでシステム全体がダウンしてしまった場合のサービス停止時間を短くするために、遠隔地に同一システムを構築していることになります。

ですから、通常のテープバックアップと遠隔地バックアップは導入する目的が違っています。遠隔地バックアップを行うようになったからといって、テープバックアップをやめることはできないわけです。

このことを50字以内でまとめると、

遠隔地バックアップはサービス停止時間を短時間に抑えるためで、データの保護ではないから。(43字)

となります。

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