日経NETWORK 2005.7 『ファイル・アクセス解体新書】 by BOSE
ファイル・アクセスの仕組みについて、とてもわかりやすく解説した記事です。
ファイル・アクセスってどういう仕組みかよく分からないな、と思っていたので、僕にとってはタイムリーな記事でした。おそらくどの会社のオフィスでも、部署や会社ごとに共有して使用できるファイルサーバが設置してあって、ユーザが共有フォルダを自由に利用できるようになっていますよね。
この時にファイルにアクセスする仕組みが、今回の記事のテーマです。今まで当たり前のように使っていたため、あまり仕組みを意識したことがなかったのですが、漠然と使っていた共有フォルダというものの仕組みがかなりクリアになりました。
「ファイル・アクセスは、通信アプリケーションの一つである」
という1行が、目からうろこでした。
HTTPやFTPと同じように、TCP上で動くアプリケーションだったのですね。クライアントとサーバの間で、ファイルのコピー、移動、書き込み、などを制御する手順が決められており、ユーザ(クライアント)からの要求に対して、サーバが実行して応答を返す。なるほど、確かに他の通信アプリケーションと同じですね。
共有フォルダがあまりにも簡単に利用できるもんだから、ファイルサーバの「サーバ」という表現に実は違和感を感じていたくらいなのですが、記事の説明をみて納得しました。
ファイル・アクセスで利用される代表的なプロトコルは以下の4つです。
・SMB/CIFS
・NFS
・AFS
・WebDAV
Windowsのファイル共有でもともと利用されていたプロトコルがSMBで、SMBの仕様を拡張し、一般に公開したものがCIFSだそうです。たいていの人はもっとも身近で使われている仕組みがこれですね。
NFSはUNIXで利用されるファイル共有プロトコルです。AFSは同様にMACで利用されるファイル共有プロトコルです。
WebDAVはHTTPを拡張してファイル・アクセスを実現したプロトコルです。HTTP、HTTPSをそのまま利用できるので、ファイアウォールを越えてインターネット上で簡単にファイル共有できるのが特徴です。
このうち、記事ではSMB/CIFS、WebDAVについて解説しています。
WevDAVはコンピュータのプラットフォームによらず簡単にファイル共有できるため、最近注目を集めているものです。つまり、WindowsもMACもLINUXも、同じファイルサーバでファイルを共有することができます。
そのからくりはこうです。
WebDAVクライアントはファイル操作関数をHTTPのメッセージに変換し、WebDAVサーバに送ります。それを受け取ったWebDAVサーバは、HTTPのメッセージを自分のプラットフォームのファイル操作関数に直し、ローカルのハードディクスにあるファイルを操作する、というわけです。
ファイアウォールを越えて、容易にインターネット上でファイル共有ができるというのも大きなメリットです。
ここまでを見ると、WebDAVはいいこと尽くめのように思われますが実はそうでもありません。僕の勤める会社もファイルサーバとしてWebDAVサーバを使用しています。Windowsのファイル共有とほぼ同じイメージで使えるユーザインタフェースはいいのですが、使い勝手におおいに不満があります。
例えば、アプリケーションのメニューから、ファイルに名前をつけて保存するときなど、ファイルの保存場所として、WebDAVサーバの場所が表示されないんです。だから、いったんローカルに保存してからWebDAVサーバにコピーしてます。これはWebDAVだからなのか、僕の会社だけの問題なのかわかりませんが、とにかく面倒くさい。
あと、もう1つの不満は、ファイル転送速度がやたらと遅いことです。明らかに普通のフォルダ共有よりも時間がかかる。これは今回の記事でも取り上げられていました。
記事の実験では、共有フォルダで6.72秒で転送できたファイルが、WebDAVサーバの場合は114.71秒もかかったという結果です。なんと約17倍の時間がかかっている!
その理由は記事では詳細は述べられてませんが、大量のテキストデータで制御情報をやりとりするため、オーバヘッドが大きくなるのだということ。データ転送速度については大きく改良の余地ありですね。
これは今後に期待します。
結論として、LANの利用はSMB/CIFS、インターネット上はWebDAVと使い分けるのがよいとまとめられていました。
ファイル・アクセスは、とても身近に使っているんだけど、仕組みとしてはよくわからないままでした。そういったことが今回の記事でクリアになり、得した気分になりましたね。
※BOSEさん、ありがとうございます。身近なファイルアクセスもあらためて、仕組みが分かると面白いですね。これから、家庭にも大容量ハードディスクを備えたホームサーバが普及してくるでしょうから、ファイルアクセスはますます重要になりそうです。そんなとき、ちょっとでも仕組みをわかっていると、何かトラブルがあったときに適切に対処できそうですね。(Gene)
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