IPv6アドレスの構造 その5 特殊なIPv6アドレス
目次
IPv6の特殊なユニキャストアドレス
IPv6には、リンクローカルやグローバルアドレスのほかに特殊な用途に利用するユニキャストアドレスがあります。主なものは、次のアドレスです。
- ループバックアドレス
- 未指定アドレス
- IPv4互換アドレス
以下で、各アドレスについて説明します。
ループバックアドレス
ホストが自分自身にパケットを送るために利用するアドレスがループバックアドレスです。IPv4では「127.0.0.1」などが利用されていました。IPv6では、128ビットのうち、最下位ビットだけが「1」のアドレスがループバックアドレスです。16進表記では、
0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000:0001
↓
0:0:0:0:0:0:0:1
↓
::1
と表すことができます。
未指定アドレス
未指定アドレスは、インタフェースにアドレスが割り当てられていないことを示すアドレスです。これは、たとえば、DHCPv6クライアントが起動したとき、クライアントはアドレスを持っていません。DHCPv6サーバにIPv6アドレスを要求するときに、自分のIPv6アドレスを未指定アドレスとして、まだアドレスが割り当てられていないことを示します。
未指定アドレスは、128ビットすべて「0」です。つまり、
::
で表すことができます。
IPv4互換アドレス
IPv4互換アドレスは、IPv6ネットワークをIPv4ネットワークを介して接続するときに、自動的にトンネルを作るために利用するアドレスです。
IPv4互換アドレスは、128ビットのうち先頭から96ビットが「0」で、残りの32ビットはIPv4アドレスをそのまま記述します。IPv4互換アドレスの中に、IPv4アドレスが埋め込まれているので、そのIPv4アドレスを使って自動的にトンネルを作成することができるようになります。
IPv4互換アドレスを省略形で表記すると、96ビットが「0」なので、
::/96
のように表すことができます。
また、表記方法として::のあとにそのままドット付き10進表記でIPv4アドレスを書くこともあります。
たとえば、200.1.1.1というIPv4アドレスに対するIPv4互換アドレスは、
::C801:0101
または、
::200.1.1.1
になります。