NETWORK MAGAZINE 2007.1 『完全解剖 最新スイッチ』 by Gene
企業ネットワークでも家庭内ネットワークでも、スイッチはネットワークには
なくてはならないネットワーク機器です。
スイッチというと、以前は、たくさんのイーサネットポートで複数のコンピュ
ータを集線し、単純にデータリンク層レベルでイーサネットフレームを高速に
転送するという役割を果たすだけにすぎませんでした。
でも、イーサネットの高速化やさまざまなネットワーク要件の変化にともなっ
て、スイッチは単純にデータリンク層レベルのフレーム転送だけを行う機器で
はなくなってきました。
最も大きな変化は、VLANとVLANによって分割されたネットワーク間でのIPルー
ティングに対応したことだと思います。ルータで行っていたネットワークの分
割とIPルーティングがスイッチでできるようになったのがレイヤ3スイッチです
ね。レイヤ2からレイヤ3へとスイッチの階層があがっていきました。
いろんな機能が追加されるに従って、スイッチでデータを取り扱う階層がどん
どん上がってきます。
企業向けのスイッチで実装されている単純なデータ転送以外の機能について、
解説しているのが今回レビューで取り扱っているNETWORK MAGAZINEの記事です。
この記事では、スイッチの機能として
- VLANとトラフィック制御
- IEEE802.1xのポートベース認証
- 独自認証技術
- 冗長化技術
- 10ギガビットイーサネット
- QoS
- 管理機能
について解説しています。
解説と言っても、詳しい仕組みまでは扱っていず、「こんな感じですよ~」と
いった程度なんですが、スイッチにこれだけたくさんの機能が実装されてきて
いるのを知るとビックリします。
機能的には、もうだいたい網羅されつつあると思っているので、今後のスイッ
チの高速化がどうなっていくのかが興味深いところです。10ギガビットイーサ
ネットは、キャリアや大規模なデータセンターで利用されているようです。
でも、クライアントコンピュータにもオンボードでギガビットイーサネットが
搭載されるようになってきているので、近いうちに10ギガビットイーサネット
ももっと普及してきそうです。で、その先は100ギガビットイーサネットの標
準化も目指しているようです。
今はそれだけの速度の用途はあんまり思い浮かばないのですが、10倍の速度な
りのいろんな用途、機能が追加されてくるでしょう。それがどんなものになる
のか楽しみです。
この記事は、スイッチでできることをざっと知るためにはいい内容で、必要な
技術や機能をより深く勉強するための入り口になります。ただ、勉強するとき
は、やっぱり基本的な機能を踏まえた上での理解が大事になります。スイッチ
の最も基本的なデータリンク層レベルのイーサネットフレームの転送を踏まえ
て、より上位層の機能を勉強すれば理解が深まると思います。
また、レイヤ3スイッチの設定の考え方は、慣れないと難しく感じるかもしれ
ません。Cisco Catalystスイッチについてですが、レイヤ3スイッチの考え方
について、ぼくがまとめている無料レポートもありますので、よろしければ参
考にしてください。