PPPその1
目次
PPPの用途
PPP(Point-to-Point Protcol)は、さまざまな用途に利用されているWANプロトコルです。たとえば、PPPの用途として次のようなものが挙げられます。
・プロバイダへのダイアルアップ接続
・ADSLやFTTH
・専用線
・プロバイダバックボーン(POS:Packet Over SONET/SDH)
PPPの特徴として、物理的な回線を選ぶことなくただしくレイヤ3(IP)のデータを運ぶためのデータリンク層のプロトコルであるということになります。物理的な回線は、たとえば、電話網やISDN網、PHS網であったり、専用線やATM、ADSL、光ファイバであったりとさまざまなわけですね。ですが、目的はレイヤ3(IP)の情報をきちんと運ぶためにあります。
PPPはもともとはHDLCというデータリンクプロトコルを拡張したものです。HDLCは、IBMのSDLCというプロトコルから派生したものですが、上位のレイヤ3のプロトコルを識別するための情報がありません。各ベンダごとにHDLCを独自に拡張して、上位プロトコルを識別できるようにしていたのですが、こうするともちろん、ベンダ間での相互接続性がなくなってしまいます。そこで、PPPはきちんと、レイヤ3プロトコルを識別する情報を付加するようにしてます。これはRFCで標準化されているので、異なるベンダ間の製品でもきちんとつながります。
RFC 1661 – The Point-to-Point Protocol (PPP)
PPPの機能
PPPの基本的な機能として、次の4つがあげられます。
・交渉
・認証
・通知
・監視
まず、交渉は通信を行う相手と、どういった機能をサポートしているのかをやりとりして、最適な条件で通信を行うことです。交渉で決めることは、パケットサイズや圧縮、暗号化、さらに複数の回線上で負荷分散を行うためのマルチリンク機能などです。
認証とは、接続してきた相手が正規のユーザであるかどうかを確認することを意味しています。ダイアルアップでISPに接続するときに、ユーザ名とパスワードを入力していると思いますが、あれはPPPの認証機能を使ってユーザ認証を行っています。認証の方式は、PAPとCHAPという2種類あります。
通知は、ダイアルアップで接続してきたパソコンに対してIPアドレスやデフォルトゲートウェイのIPアドレスを教えてあげることです。ただ、DHCPほどはたくさんの情報を教えてあげることはできません。
監視は、通信している相手と定期的に制御情報を交換し合って、きちんと通信ができる状態かどうかを見ています。
こうしたさまざまな機能を行うために、PPPは次のような要素から成り立っています。
・LCP(Link Control Protocol)
・NCP(Network Control Protocol)
LCPはデータリンク層の制御を行い、上位のネットワーク層に依存しない各種制御機能を担っています。それに対して、NCPはネットワーク層の制御を行い、IPやIPXといったネットワーク層のプロトコルにそれぞれ対応するための機能を担っています。
PPPはいろんな機能ごとに動作を独立させたモジュール構成になっているので、あとから機能追加を行うなどの変更がとても簡単にできるようになっていることも大きな特徴です。