目次
ルートポートとは
ルートポートは、ルートブリッジまでの最短経路となるポートです。ルートブリッジ以外のスイッチは、必ずルートポートを1つ持っています。各スイッチは、ルートポートの先にルートブリッジが存在していると認識しているわけです。
ルートポートを決めるには、コンフィグレーションBPDUの以下のフィールドの値を見ていきます。
- ルートパスコスト
- ブリッジID
- ポートID
ルートポートを決めるには、たいていは、ルートパスコストかブリッジIDを見ることになります。
ポートIDは、ポートプライオリティとポート番号(インタフェース番号)で構成されています。ポートIDもパスコストやブリッジIDと同様に小さい方が優先されます。ポートプライオリティはデフォルトで128です。そのため、デフォルトではポートIDはポート番号が小さいほど小さくなります。ポート番号は設定で変更できませんが、ポートプライオリティは設定で変更できます。つまり、ポートプライオリティを小さくすると、ポートIDは小さくなります。
ポートIDでルートポートが決まる例
ルートパスコストやブリッジIDでルートポートを決められずに、ポートIDでルートポートが決まるのは、スイッチ間がパラレルに複数リンクで接続されているときです。簡単にするために、2台のスイッチが2本のリンクで接続されている場合を考えます。
このネットワーク構成では、SW1がルートブリッジです。SW1 Gi0/1とGi0/2からコンフィグレーションBPDUが定期的に送信されます。それぞれのコンフィグレーションBPDUの送信元ブリッジIDとパスコスト、送信元ポートIDは、以下の表のようになります。
BPDU | ブリッジID | コスト | ポートID |
Gi0/1から送信 | SW1 | 0 | 128.1 |
Gi0/2から送信 | SW1 | 0 | 128.2 |
SW1 Gi0/1から送信されたBPDUとGi0/2から送信されたBPDUの送信元ブリッジIDはどちらもSW1で同じです。コストも0で同じで、受信したインタフェースのコストを足し合わせるので、コストも同じ値になってしまいます。パスコストと送信元ブリッジIDでルートポートを決められません。
そこで、SW2は、ルートポートを決定するために受信したBPDUの送信元ポートIDをチェックします。送信元ポートIDが最小のBPDUを受信したGi0/1がルートポートです。
勘違いしやすいところなのですが、このネットワーク構成で、SW2 Gi0/1がルートポートになるのは、SW2 Gi0/1のポートIDが小さいからではありません。SW1 Gi0/1のポートIDが小さいからです。
SW2 Gi0/2がルートポートになるように
そして、SW2 Gi0/2をルートポートする例を考えます。SW2 Gi0/2をルートポートにするためには、SW1 Gi0/2のポートIDを小さくすればOKです。ポートIDを小さくするには、ポートプライオリティを小さくします。
ポートプライオリティの変更と確認コマンド
ポートプライオリティを変更するには、インタフェースコンフィグレーションモードで次のコマンドを入力します。
(config)#interface <interface-name>
(config-if)#spanning-tree port-priority <priority>
<priority> : ポートプライオリティ。0~255
また、ポートプライオリティはshow spanning-tree vlanコマンドで確認できます。
SW11#show spanning-tree vlan 1 VLAN1 Spanning tree enabled protocol ieee Root ID Priority 4096 Address 0009.b744.eec1 This bridge is the root Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID Priority 4096 Address 0009.b744.eec1 Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Aging Time 300 Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type ---------------- ---- --- --------- -------- -------------------------------- Gi1/0/1 Desg FWD 4 128.1 P2p Gi1/0/7 Desg FWD 4 128.7 P2p Gi1/0/9 Desg FWD 4 128.9 P2p
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