データを転送することがネットワークを利用する目的ではない

ネットワークを介してPCやサーバなどとの間でデータをやり取りするわけですが、データをやり取りすること自体がネットワークを利用する目的というわけではありません。データをやり取りするのは手段です。ネットワーク上でさまざまなデータをやり取りするのは、以下のような目的のためです。

  • 情報収集
  • 情報共有
  • 効率的なコミュニケーション
  • 業務プロセスの効率化

新しい製品やサービスなどあなたの興味があることについて情報収集しようと、Webサイト見ていることでしょう。ネットワーク上のストレージサービスにファイルを保存しておけば、どんな端末からもそのファイルにアクセスできますし、他のユーザとの共有も簡単です。そして、電子メールにより低コストで素早く他のユーザとコミュニケーションが取れるようになります。さらに、最近ではSNS(Social Networking Service)のメッセンジャー機能を利用すると、ほぼリアルタイムのコミュニケーションが可能です。ネットワーク上の仮想店舗で買物をするオンラインショッピングは、販売業者にとっては受注/決済プロセスや顧客管理などといった業務プロセスを効率化できます。購入する一般消費者にとっても店舗にいかなくても買い物ができるといったメリットがあります。さらに企業の社内ネットワークでは、出張申請や経費精算などの事務処理をシステム化して、業務プロセスの効率化を図っている例も多く見られます。

ネットワークを利用する主な目的

データを送受信するのはアプリケーション

以上のようなネットワークの目的のために、いろんなアプリケーションを利用しています。非常によく利用するアプリケーションがMicrosoft Internet Explorer/Edge、Google Chrome、Mozilla Firefox、Apple SafariなどのWebブラウザです。

ネットワークを介して、データをやり取りしていろんなメリットを享受するわけですが、「データをやり取りしている主体はアプリケーションである」ということはネットワークの仕組みを学ぶうえでとても重要です。そして、「原則として通信、すなわちデータのやり取りは双方向で行う」ということも重要なポイントです。

一般のユーザが利用するアプリケーション間のデータのやり取り以外ももちろんあります。ルーティングプロトコルがその一例です。ルーティングプロトコルは、最終的に一般のユーザが利用するアプリケーション間のデータを転送できるようにするためのものです。
通信の主体はアプリケーション

アプリケーションのデータのやり取りは、たいてい1つのみではありません。複数のデータが連続して送信されることがほとんどです。アプリケーションの通信を構成する一連のデータのまとまりを「アプリケーションフロー」または単に「フロー」と呼んでいます。アプリケーションの通信は、双方向でフローが発生します。

フローの概要
ポイント
  • データを送受信している通信の主体はアプリケーション
  • アプリケーションの通信は双方向で行われる
  • アプリケーションの一連のデータのまとまりを「フロー」と呼ぶ