目次
概要
スマートフォンは、4G/5G携帯電話回線で常時インターネットに高速で接続しています。テザリングによって、スマートフォンのインターネット接続回線を他の機器でも利用できるようになります。つまり、テザリングとはスマートフォンのインターネット回線にその他の機器を相乗りさせるための機能です。このページで、テザリングについて解説します。
![図 テザリングの概要](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2022/05/wi-fi-tethering01.png)
テザリングにはWi-Fiテザリング/USBテザリング/Bluetoothテザリングがあります。最も一般的なWi-Fiテザリングについて扱います。
テザリングとは
テザリングとは、スマートフォンをモバイルルータとして利用する機能です。スマートフォンは、4G/5G携帯電話回線で常時インターネットに高速で接続しています。テザリングによって、スマートフォンはモバイルルータとなります。テザリングは英単語の「tethering」をそのままカタカナ表記しているだけです。「tether」のもともとの意味は、「何かをつなぎとめる」といった意味です。その他の機器をスマートフォンにつなぎとめて、スマートフォンのインターネット接続を共有できるようにするといった意味合いです。
テザリングを有効にしたとき、スマートフォンはモバイルルータとして主に以下の機能を提供します。
- Wi-Fiアクセスポイント
- DHCPサーバ
- NAT(Network Address Translation)
![図 モバイルルータになる](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2022/05/wi-fi-tethering02.png)
Wi-Fiアクセスポイント
タブレットやノートPCなどの機器は、Wi-Fiでスマートフォンに接続します。そのため、スマートフォンはテザリングを有効にすることで、Wi-Fiアクセスポイントになります。テザリングの設定で、SSIDやWi-Fi接続時の認証などのセキュリティ設定を行います。Wi-Fiアクセスポイントにアソシエーションすることで、Wi-Fiネットワーク内のWi-Fiインタフェースを認識して、Wi-Fiの電波を送受信できるようになります。
![図 Wi-Fiアクセスポイント機能](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2022/05/wi-fi-tethering03.png)
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Wi-Fiアクセスポイントへ接続することを「アソシエーション」と呼びます。アソシエーションについて以下の記事で解説しています。
DHCPサーバ
テザリングを有効にすると、スマートフォンはDHCPサーバとしても動作します。Wi-Fiで接続しているタブレットやノートPCにDHCPでIPアドレスなどの設定を配布します。DHCPサーバとして機能するためには、IPアドレスが必要です。Wi-Fiインタフェースにはプライベートアドレスを割り当てます。設定で変更できますが、ほとんどの場合、デフォルトのプライベートアドレスを利用しているでしょう。スマートフォンのWi-FiインタフェースのIPアドレスは、デフォルトゲートウェイやDNSサーバのIPアドレスとなります。
![図 DHCPサーバ機能](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2022/05/wi-fi-tethering04.png)
NAT(Network Address Translation)
スマートフォンには、4G/5G携帯電話回線のインタフェースとWi-Fiのインタフェースの2つの無線のインタフェースがあります。4G/5Gのインタフェースには、携帯電話キャリアからIPアドレスを割り当てられます。以前は、グローバルアドレスを割り当てていることもありましたが、今では、携帯電話キャリアのポリシーに基づいたプライベートアドレスであることがほとんどです。
![図 テザリングのときのIPアドレス](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2022/05/wi-fi-tethering05.png)
Wi-Fiインタフェースのプライベートアドレスは、Wi-Fiネットワーク内で通信するためのIPアドレスです。DHCPでスマートフォンにつながっているPCやタブレットなどにWi-Fi側のプライベートアドレスを割り当てているのですが、そのままでは、インターネットへアクセスできません。
スマートフォン配下のPCなどからインターネットへアクセスするときには、送信元IPアドレスをスマートフォンの4G/5GインタフェースのIPアドレスにNAT変換します。4G/5GインタフェースのIPアドレスもほとんどプライベートアドレスで、やはりそのままではインターネットにアクセスできません。携帯電話キャリア内でさらにNATでグローバルアドレスに変換されることになります。
![図 NAT機能](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2022/05/wi-fi-tethering06.png)
なお、インターネットからの戻りのデータについては、宛先IPアドレスが変換されることになります。
ここで述べている「NAT」は単なるIPアドレスの変換だけではなく、TCP/UDPポート番号の対応も保持するNAPT(Network Address Port Translation)も含めています。なお、CiscoではNAPTを「PAT(Port Address Translation)」と表現します。
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Wi-Fiテザリングの設定(Android)
Androidでテザリングを有効にするには、[設定]→[接続]を開きます。
![](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2022/05/wi-fi-tethering07.png)
[テザリング]から[Wi-Fiテザリング]を有効にできます。
![](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2022/05/wi-fi-tethering08.png)
![](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2022/05/wi-fi-tethering09.png)
[Wi-Fi]テザリングの画面から、Wi-FiのSSID/パスワードの設定が可能です。
![](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2022/05/wi-fi-tethering10.png)
まとめ
まとめ
- テザリングとは、スマートフォンのインターネット接続を他の機器でも共有できるようにする機能です。
- テザリングを有効にすることでスマートフォンはモバイルルータとなります。
- テザリングによるモバイルルータの主な機能は以下の3つです。
- Wi-Fiアクセスポイント
- DHCPサーバ
- NAT(Network Address Translation)