広域イーサネットがわかる!



広域イーサネットとは


広域イーサネットとは、顧客のイーサネットフレームを透過的に転送し遠隔地の拠点を接続するサービスです。広域イーサネットを利用して離れた拠点を接続すると、まるで1つのLANであるかのようなネットワーク構成にすることが可能です。
また、広域イーサネット網に接続するインタフェースは、10BASE-Tや100BASE-TXなどのイーサネットインタフェースです。網に接続するためにルータだけではなく、レイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチを利用することも可能です。

ただし、10BASE-Tや100BASE-TXなどで接続するからといって、
UTPケーブルで広域イーサネット網まで配線しているわけではありません。メディアコンバータによって、光ファイバや専用線、ATM専用線などに変換しています。


(図 広域イーサネットサービスの概要)




広域イーサネット網の構成

通信事業者が構築する広域イーサネット網の構成はスイッチを利用している場合が多くなっています。スイッチで構築した広域イーサネット網によって、複数の顧客のイーサネットフレームを透過的に転送します。
1つの網で複数の顧客がイーサネットフレームを転送させるために、顧客のイーサネットフレームを分離する必要があります。
顧客のイーサネットフレームを分離するためにVLAN(Virtual LAN)を利用します。広域イーサネット網の中で、IEEE802.1QのVLANタグによって顧客のイーサネットフレームを分離します。

しかし、1つのVLANタグだけだと顧客のネットワークにおけるVLANの構成に制限が出てきます。離れた拠点で同じVLANを構成したいというとき、1つのVLANタグだけでは対応できません。そのため、
イーサネットフレームに2つのVLANタグを多重化することによって、離れた拠点で同じVLANを構成することもできます。


広域イーサネット網はMPLSネットワークでも実現することができます。透過的にイーサネットフレームを転送するために、イーサネットフレームそのものにラベルを付加して、MPLSネットワーク内をラベルスイッチさせていきます。イーサネットフレーム自体にラベルを付加して、MPLSネットワーク上で転送する技術を
EoMPLS(Ethernet over MPLS)と呼びます。

EoMPLSによって、
通信事業者はMPLSネットワークを構築すれば、IP-VPNと広域イーサネットの両方のサービスを顧客に提供することができるようになります。



広域イーサネットのメリット

広域イーサネットサービスは、IP-VPNと並んでこれからの企業の遠隔地の拠点を相互接続するWANサービスとして普及しつつあります。

広域イーサネットサービスを利用して遠隔地の拠点を接続する場合、次のようなメリットが考えられます。


・フルメッシュ接続
・IPに依存しない
・ルーティングプロトコルの制限がない
・高速



広域イーサネットは、IP-VPNと同様に
広域イーサネット網に接続しさえすればすべての拠点が対等な関係で通信を行うことができるフルメッシュ接続になります。各拠点があたかもひとつのLANで接続されているかのように見えます。フレームリレーやATMのようにVC(Virtual Circuit)を設定する必要はありません。

そして、広域イーサネットは、イーサネットフレームを透過的に転送するサービスです。そのため、
イーサネットフレームが運ぶネットワーク層のプロトコルはIPに限定されません。IP-VPNでは、ネットワーク層のプロトコルとしてIPしか利用できませんでした。そのため、Novell IPXやAppletalk、メインフレームのSNAなどのIP以外のネットワーク層プロトコルが存在するネットワークでは、それらをIPでカプセル化するなどの工夫が必要でした。ですが、広域イーサネットを利用すれば、そのような工夫は必要ありません。

さらに、イーサネットフレームを透過的に転送するという性質から、
拠点間のルーティングプロトコルにも制限はありません。既存のネットワークでRIPやOSPFを利用している場合、広域イーサネットに移行してもルーティングプロトコルの構成をほとんど変更することなく、広域イーサネット網を経由して拠点間でのダイナミックルーティングを行うことができます。
IP-VPNでは、拠点間でのダイナミックルーティングは行いません。顧客のCEルータとIP-VPN網のPEルータ間でルーティングプロトコルを動作させています。このときBGPしか利用できないサービスがほとんどです。広域イーサネットはIP-VPNに比較すると、自由度の高いネットワーク設計を行うことが可能です。



(図 広域イーサネットにおけるルーティングプロトコル)


広域イーサネットでは、高速であることも大きなメリットのひとつです。
最大で1Gbpsもの高速な速度で広域イーサネット網に接続することができ、LANとWANのシームレスな統合を行うことができます。




広域イーサネット利用時の注意点

広域イーサネットサービスを利用するときには、一般に以下の点について注意する必要があります。

・アクセス回線の選択肢が少ない
・SLA契約
・サービス提供地域が限定される



広域イーサネット網に接続する
アクセス回線の選択肢がIP-VPNほど豊富ではありません。また、アクセス回線の帯域幅もIP-VPNほどきめ細かく変えられないということがあります。小規模な拠点でそれほど帯域幅を必要としない場合は、広域イーサネットはオーバースペックになってしまうことがあります。

そして、広域イーサネット網内の
SLA(Service Level Agreement)契約を提供している通信事業者が少なかったり、提供していてもIP-VPNほど詳細なSLA契約を結ぶことができなかったりすることが多いです。

また、IP-VPNに比べると
広域イーサネットはサービスの提供地域が限定されます。広域イーサネットのサービス提供地域は、大都市近郊がほとんどなので地方の拠点を広域イーサネットで接続できないことがあります。

以上のように広域イーサネットを利用する上でいくつかの注意点があります。ですが、
これらはどんどん改善されつつあります。アクセス回線の選択肢も増えてきていますし、帯域幅もきめ細かい契約が可能になりつつあります。詳細なSLA契約を提供する通信事業者も現れていますし、サービスの提供地域も大都市近郊だけでなく地方にも拡大しています。





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