目次
自動集約とは
ルーティングプロトコルによっては、ネットワークのルート情報を送信するときに自動集約を行います。自動集約とは、次のような動作です。
メジャーネットワーク境界でルート情報を送信するときにクラスのネットワークアドレスに集約する
自動集約を行うルーティングプロトコルは、ディスタンスベクタ型です。具体的なルーティングプロトコルとして、RIPv1/RIPv2、EIGRPが該当します。そして、メジャーネットワーク境界とは、メジャーネットワークが異なるネットワークアドレスを利用しているアドレス構成となっているルータです。
自動集約が行われる例
図のR1はネットワーク境界です。R1を境界として、「172.16.0.0」と「192.168.1.0」という異なるメジャーネットワークのアドレスを利用しています。R1がRIPなどのディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルで172.16.1.0/24のルート情報を送信しようとするときに、自動集約が行われます。その結果、172.16.1.0/24をクラス単位の172.16.0.0/16に集約して送信します。
不連続サブネットで自動集約はNG
不連続サブネットのアドレス構成で自動集約が行われると、ルーティングテーブルに正しくルート情報を登録できなくなってしまう場合があります。以下の不連続サブネットのアドレス構成のネットワークを例にして考えます。
R1の172.16.1.0/24とR3の172.16.2.0/24はもともと172.16.0.0/16からサブネッティングされたネットワークアドレスです。この間に192.168.1.0/24と192.168.2.0/24という異なるメジャーネットワークが含まれているので不連続サブネットです。また、R1とR3はメジャーネットワーク境界です。
このネットワーク構成で自動集約を行うRIPv2が有効になっていると、R1は172.16.1.0/24のルート情報を送信するときに172.16.0.0/16に集約します。そして、R3は172.16.2.0/24のルート情報を送信するときに172.16.0.0/16に集約します。
その結果、R2のルーティングテーブルには172.16.0.0/16のルート情報としてネクストホップをR2、R3とする2つ登録されます。このルーティングテーブルはネットワーク構成を正しく反映できていないため、ルーティングを正常に行うことができません。
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