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IGMPスヌーピングとは
IGMPスヌーピングとは、レイヤ2スイッチでのマルチキャストのフラッディングを制御して、レシーバが接続されていないポートの余計な帯域消費を防ぐための機能です。
レイヤ2スイッチは、ブロードキャストとマルチキャストを同じように取り扱うため、マルチキャストパケットはVLAN内すべてにフラッディングされます。そのため、マルチキャストレシーバではないホストにもマルチキャストが届いてしまいます。レシーバでなければ、マルチキャストが届いたとしてもNICで破棄されホスト自体には負荷がかかりません。しかし、レシーバではないホストが接続されているポートで余計な帯域の消費が起こってしまいます。
こうしたレイヤ2スイッチのマルチキャストのフラッディングを制御し、レシーバが接続されていないポートの余計な帯域消費を防ぐために次の2つの機能
が利用できます。
- CGMP(Cisco Group Management Protocol)
- IGMPスヌーピング
これらを利用すると、マルチキャストのフラッディングは該当するグループのレシーバが存在するポートのみに限定し、余計な帯域消費を防ぐことができます。CGMPはCisco独自のプロトコルで、CiscoルータとCatalystスイッチ間でのみ使えます。IGMPスヌーピングは他のベンダの機器でも利用できます。
IGMPスヌーピングの仕組み
CGMPおよびIGMPスヌーピングは、動作の仕組みは違っていますが、最終的な結果は同じです。CGMPまたはIGMPスヌーピングによって、レイヤ2スイッチは「01-00-5E」ではじまるIPマルチキャストに対応したMACアドレスをMACアドレステーブルに登録するようになります。
そうすると、マルチキャストパケットをフラッディングしません。MACアドレステーブルにしたがってレシーバが接続されているポートにのみマルチキャストを転送するようになります。次の図はIGMPスヌーピングの例です。
「スヌーピング」とは覗き見るという意味です。本来、レイヤ2スイッチはイーサネットヘッダしか見ませんが、IGMPスヌーピングによってIGMPメッセージの中身を確認します。IGMPレポートメッセージから、どのホストがどのようなマルチキャストグループに参加するかがわかりますので、その情報をMACアドレステーブルに登録します。これにより、マルチキャストパケットをレシーバが接続されているポートにのみ限定して転送することができるようになります。
IGMPスヌーピングの設定と確認
CatalystスイッチではデフォルトでIGMPスヌーピングが有効化されています。IGMPスヌーピングはVLANごとの設定です。次のコマンドでIGMPスヌーピングを有効化/無効化することができます。
(config)# [no] ip igmp snooping vlan < vlan-number >
< vlan-number > : VLAN番号
また、IGMPスヌーピングの有効/無効を確認するために、show ip igmp snoopingコマンドがあります。show ip igmp snoopingコマンドの例は下記のとおりです。
Switch#sh ip igmp snooping Global IGMP Snooping configuration: ----------------------------------- IGMP snooping : Enabled IGMPv3 snooping (minimal) : Enabled Report suppression : Enabled TCN solicit query : Disabled TCN flood query count : 2 Last member query interval : 1000 Vlan 1: -------- IGMP snooping : Enabled Immediate leave : Disabled Multicast router learning mode : pim-dvmrp Source only learning age timer : 10 Last member query interval : 1000 CGMP interoperability mode : IGMP_ONLY
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