目次
概要
SSMでマルチキャストルーティングを行うための設定と確認をステップ・バイ・ステップで解説します。
ネットワーク構成
設定条件
【SSM】
- 239.5.5.5のマルチキャストパケットをSource Treeのみでルーティングします。
- ホスト1が239.5.5.5のマルチキャストパケットのソースとなります。そして、ホスト3が239.5.5.5のマルチキャストパケットのレシーバです。
初期設定
PIM-SMの設定演習 [スタティックRP]、[Auto RP]、[BSR]、[Bidirectional PIM]の設定が完了している状態から開始します。
設定と確認
【Step1:SSMの有効化】
239.5.5.5のマルチキャストパケットをSource TreeのみでルーティングするためにSSMを有効化します。レシーバはホスト3なので、ラストホップルータとなるR6でSSMを有効化します。
R6
ip pim ssm range 5 ! access-list 5 permit 239.5.5.5
【Step2:IGMPv3の有効化】
レシーバからのIGMPv3 (S,G)サブスクリプションを受信できるようにR6 E0/1でIGMPv3を有効化します。
R6
interface Ethernet0/1 ip igmp version 3
【Step3:レシーバの設定】
ホスト3を239.5.5.5のレシーバとして設定します。239.5.5.5のソースとして、192.168.1.100を指定します。
ホスト3
interface Ethernet0/0 ip igmp version 3 ip igmp join-group 239.5.5.5 source 192.168.1.100
【Step4:ディストリビューションツリーの確認】
R6でSSMを有効化して、ホスト3が(192.168.1.100,239.5.5.5)サブスクリプションを送信することで、Source Treeが作成されます。R1、R2、R6で239.5.5.5のSource Treeを確認します。そのために、次のコマンドを利用します。
- show ip mroute 239.5.5.5
R1
R1#show ip mroute 239.5.5.5 ~省略~ (*, 239.5.5.5), 00:02:33/stopped, RP 0.0.0.0, flags: SPF Incoming interface: Null, RPF nbr 0.0.0.0 Outgoing interface list: Null (192.168.1.100, 239.5.5.5), 00:02:33/00:00:56, flags: FT Incoming interface: Ethernet0/0, RPF nbr 0.0.0.0 Outgoing interface list: Ethernet0/1, Forward/Sparse, 00:02:33/00:02:53
R2
R2#show ip mroute 239.5.5.5 IP Multicast Routing Table ~省略~ (*, 239.5.5.5), 00:03:09/stopped, RP 0.0.0.0, flags: SP Incoming interface: Null, RPF nbr 0.0.0.0 Outgoing interface list: Null (192.168.1.100, 239.5.5.5), 00:03:09/00:00:20, flags: Incoming interface: Ethernet0/0, RPF nbr 192.168.12.1 Outgoing interface list: Ethernet0/1, Forward/Sparse, 00:03:09/00:03:17
R6
R6#show ip mroute 239.5.5.5 IP Multicast Routing Table ~省略~ (192.168.1.100, 239.5.5.5), 00:03:41/00:02:18, flags: sTI Incoming interface: Ethernet0/0, RPF nbr 192.168.26.2 Outgoing interface list: Ethernet0/1, Forward/Sparse, 00:03:41/00:02:18
RPの設定をせずマルチキャストパケットを送信していない状態でも、SSMではSource Treeが作成されていることがわかります。次の図は、239.5.5.5のSource Treeについてまとめたものです。
【Step5:マルチキャストルーティングの確認】
ホスト1から239.5.5.5宛てにマルチキャストパケットを送信します。ここまでの設定が正しく行われていれば、ホスト3から応答が返ってきます。
ホスト1
H1#ping 239.5.5.5 repeat 3 Type escape sequence to abort. Sending 3, 100-byte ICMP Echos to 239.5.5.5, timeout is 2 seconds: Reply to request 0 from 192.168.6.100, 48 ms Reply to request 1 from 192.168.6.100, 28 ms Reply to request 2 from 192.168.6.100, 12 ms
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