ファイルシステムの操作
ルータのフラッシュメモリなどにディレクトリを作成、削除したり、ファイルをコピー、作成、削除するなどのファイルシステムの操作も可能です。Windowsのコマンドプロンプトとよく似ています。ファイルシステムの操作の概要について解説します。
ファイルシステムの表示
利用可能なファイルシステムをshow file systemsコマンドで確認することができます。
R1#show file systems File Systems: Size(b) Free(b) Type Flags Prefixes - - opaque rw archive: - - opaque rw system: 129016 127563 nvram rw nvram: - - opaque rw null: - - network rw tftp: * 8388604 8388604 flash rw flash: - - flash rw slot0: - - flash rw slot1: - - opaque wo syslog: - - opaque rw xmodem: - - opaque rw ymodem: - - network rw rcp: - - network rw pram: - - network rw http: - - network rw ftp: - - opaque ro cns:
ファイルシステムを識別するための識別子は、以下のように定義されています。
メモリ領域 | ファイルシステム識別子 |
RAM | system: |
フラッシュメモリ | flash: |
NVRAM | nvram: |
USBフラッシュメモリ | usbflash0: |
TFTP | tftp: |
HTTP | http: |
ファイルシステム識別子とファイル名によって、さまざまなメモリ領域上のデータをファイルとして特定できます。
デフォルトファイルシステムの変更
デフォルトのディレクトリを変更するために、cd(change directory)コマンドを利用します。デフォルトは「flash:」です。デフォルトディレクトリを指定すると、関連するコマンドの指定にディレクトリを省略できます。また、現在のデフォルトのディレクトリは、pwdコマンドで確認できます。
R1#cd nvram: R1#pwd nvram:/
ファイルのリストの表示
dirコマンドでディレクトリ内のファイルのリストを表示することができます。
#dir [<filesystem:>]
R1#dir Directory of nvram:/ 123 -rw- 1401startup-config 124 ---- 0 private-config 129016 bytes total (127563 bytes free)
ディレクトリの作成、削除
ディレクトリを作成するために、特権EXECモードでmkdirコマンドを利用します。
#mkdir <directory-name>
Center#mkdir temp Create directory filename [temp]? Created dir flash:temp Center#dir Directory of flash:/ 1 -rw- 30112780 Sep 13 2012 06:43:22 +00:00 c890-universalk9-mz.150-1.M3.bin 2 -rw- 840 Aug 6 2014 01:57:46 +00:00 vlan.dat 3 drw- 0 Jun 26 2019 01:35:40 +00:00 temp 252997632 bytes total (222875648 bytes free)
また、ディレクトリを削除するにはdeleteコマンドを利用します。
#delete [/force] [/recursive] <directory-name>
/forceのオプションは削除を確認するプロンプトを省略します。/recursiveのオプションはディレクトリのすべてのファイルおよびサブディレクトリを削除します。
ファイルのコピー
設定ファイルの保存と管理でも触れているcopyコマンドによって、ファイルのコピーを実行できます。
#copy <source-filename> <destination-filename>
copyコマンドはrunning-configをstartup-configにコピーするだけでなく、IOSで管理するさまざまなファイルのコピーが可能です。
tarファイルの作成
ディレクトリ内のファイルを1つにまとめるtarファイルを作成できます。tarファイルを作成するには次のコマンドを利用します。
archive tar /create <destination-filename> <source-directory-name>
<destination-filename> : 作成するtarファイル名
<source-directory-name> : tarファイルにまとめるディレクトリ名
また、tarファイル内にまとめているファイルのリストを確認するには、次のコマンドを利用します。
archive tar /table <filename>
<filename> : tarファイル名
以下は、「configs」ディレクトリの中のファイルを「configs.tar」のファイルにまとめている例です。
Center#dir configs Directory of flash:/configs/ 6 -rw- 1241 Jun 26 2019 04:56:42 +00:00 config1.cfg 7 -rw- 1241 Jun 26 2019 04:57:20 +00:00 config2.cfg 252997632 bytes total (222863360 bytes free) Center#archive tar /create configs.tar flash:/configs archiving config1.cfg (1241 bytes) archiving config2.cfg (1241 bytes) Center#dir Directory of flash:/ 1 -rw- 30112780 Sep 13 2012 06:43:22 +00:00 c890-universalk9-mz.150-1.M3.bin 2 -rw- 840 Aug 6 2014 01:57:46 +00:00 vlan.dat 3 drw- 0 Jun 26 2019 01:38:26 +00:00 temp 5 drw- 0 Jun 26 2019 04:56:18 +00:00 configs 8 -rw- 4096 Jun 26 2019 05:47:02 +00:00 configs.tar Center#archive tar /table configs.tar config1.cfg (1241 bytes) config2.cfg (1241 bytes)
ファイルの内容の表示
moreコマンドで読み込み可能なファイルの内容をコンソール上に表示することができます。
#more <filename>
<filename> : 表示するファイル名
以下は、「configs」ディレクトリ内の「config1.cfg」の内容を表示している例です。
Center#more flash:/configs/config1.cfg ! version 15.0 service timestamps debug datetime msec service timestamps log datetime msec no service password-encryption ! hostname Center ! boot-start-marker boot-end-marker ~省略~
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