目次
設定を間違えたら・・・
Ciscoルータを設定していると、設定を間違えてしまうこともあります。また、これまでの設定が不要になってしまって、設定を削除したいことがあります。グローバルコンフィグレーションモードなどのコンフィグレーションモードから入力した設定コマンドはrunning-configに追加されます。設定を間違えてしまった、または、これまでの設定が要らなくなったときなど、設定コマンドをrunning-configから削除します。
コマンドを削除するには、「no」をつけて再入力
running-configから設定コマンドを削除するときには、削除したいコマンドの先頭に「no」をつけて入力すればよいだけです。
running-configは、1行1行が設定コマンドとなっているテキストファイルです。設定コマンドはグローバルコンフィグレーションモードを起点としたさまざまなコンフィグレーションモードから入力するコマンドです。設定コマンドを削除するときには、どのコンフィグレーションモードの設定コマンドであるかがわかっていないといけません。
Cisco設定コマンド削除のポイント
- 設定コマンドの削除とは、running-configから削除すること
- 先頭に「no」をつけてコマンドを入力すると、running-configから削除される
- 削除したいコマンドのコンフィグレーションモードまで移行しなければいけない
次のrunning-configを抜粋した設定コマンドについて考えましょう。
関連記事
Ciscoルータの設定ファイルのrunning-configの詳細については、以下の記事をご覧ください。
running-config上でインデントされていない行の設定コマンドは、グローバルコンフィグレーションモードの設定コマンドです。上記の例では「hostname Gene」がグローバルコンフィグレーションモードの設定コマンドです。
インデントされている設定コマンドは、その直前のコンフィグレーションモードの設定コマンドです。上記の例で「ip address 192.168.1.2 255.255.255.0」、「shutdown」、「duplex auto」、「speed auto」は、インデントされています。これらの設定コマンドは、直前のインデントされていない行である「interface FastEthernet0/0」、つまりFastEthernet0/0のインタフェースコンフィグレーションモードでの設定コマンドです。
削除したい設定コマンドを入力すべきコンフィグレーションモードまで移行して、先頭に「no」を付けて設定コマンドを入力すれば、削除されます。そして、削除した設定コマンドは、running-config上で次の3つのケースに分かれます。
- デフォルトの設定コマンドに置き換わる
- 先頭にnoがついた状態でrunning-config上に残る
- running-configから消える
図 running-configの例から、「hostname Gene」、「ip address 192.168.12.2 255.255.255.0」、「shutdown」の3つの設定コマンドを削除します。「hostname Gene」は1.のケース、「ip address 192.168.12.2 255.255.255.0」は2のケース、「shutdown」は3のケースの設定コマンドです。
「hostname Gene」はグローバルコンフィグレーションモードの設定コマンドなので、グローバルコンフィグレーションモードで「no hostname Gene」と入力します。
Gene#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. Gene(config)#no hostname Gene Router(config)#
「ip address 192.168.12.2 255.255.255.0」、「shutdown」はFastEthernet0/0のインタフェースコンフィグレーションモードの設定コマンドなので、FastEthernet0/0のインタフェースコンフィグレーションモードから、先頭にnoをつけてコマンド入力します。
Router(config)#interface FastEthernet 0/0 Router(config-if)#no ip address 192.168.12.2 255.255.255.0 Router(config-if)#no shutdown Router(config-if)#
3つの設定コマンドを削除したあとのrunning-configは次のようになります。
関連記事
特定のインタフェースの設定のみすべて削除して、インタフェースの設定を初期化することもできます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
機器の初期化
また、入力した設定コマンドをすべて削除してCisco機器の設定を初期化するには、NVRAMのstartup-configを削除し機器を再起動すればOKです。startupc-configがない状態では、デフォルトの設定コマンドだけで起動することになります。
startup-configを削除して再起動するには、以下のように特権EXECモードでコマンドを実行します。
Router#erase startup-config Erasing the nvram filesystem will remove all configuration files! Continue? [confirm] [OK] Erase of nvram: complete Router# *Mar 3 16:48:11.287: %SYS-7-NV_BLOCK_INIT: Initialized the geometry of nvram Router#reload System configuration has been modified. Save? [yes/no]:no Proceed with reload? [confirm]
「System configuration has been modified. Save? [yes/no]」のメッセージは、「設定が変更されているので保存しますか?」という内容です。ここでyesを選択すると、running-configがstartup-configにコピーされてしまうので設定を初期化できません。
そして、「Proceed with reload? [confirm]」は再起動の最終確認です。[Enter]キーを押せば再起動します。
startup-configがない初期状態で起動すると、以下のようなメッセージが表示されます。
--- System Configuration Dialog --- Would you like to enter the initial configuration dialog? [yes/no]:
このメッセージは、「初期設定を行うためのダイアログ形式の設定モードに移行するか」という内容です。ダイアログ形式の設定モードは、あまり使うことはありません。通常のコマンドによる設定を行うために、noを入力します。
Ciscoのキホン
- Ciscoルータのメモリ領域とコンフィグレーションレジスタ
- Ciscoルータの起動シーケンス
- 設定のための準備
- Cisco機器の設定ファイル running-configとstartup-config
- Cisco機器の設定の流れ
- Cisco CLIの基礎知識 ~コマンドの種類とモード~
- Cisco機器のインタフェース
- Cisco CLIのヘルプと補完
- Cisco CLIの主なエラーメッセージ
- Cisco 設定コマンドの削除
- default interfaceコマンド ~インタフェースの設定を初期化~
- Cisco コマンドの一括入力
- doコマンド ~コンフィグレーションモードからEXECコマンドを実行~
- interface rangeコマンド ~複数インタフェースの一括設定~
- showコマンド表示のフィルタ ~見たい情報だけを適切に表示~
- Cisco機器の時刻設定
- Cisco IOS 名前解決の設定
- terminal lengthコマンド ~コマンド出力の表示行数の設定~
- debugコマンド ~リアルタイムの動作確認~
- CLIログイン時に自動的に特権EXECモードに移行する
- Cisco 設定ファイルの保存とバックアップ
- 設定ファイルのバージョン管理 ~archiveコマンド~
- IOSファイルシステムの操作
- Catalystスイッチの管理 ~スイッチにIPアドレスを設定する意味~
- VTYアクセス(Telnet/SSH)によるリモート管理
- Cisco IOS SSH待ち受けポート番号の変更
- terminal monitorコマンド ~Telnet/SSHのログイン先のログを表示~
- 多段階Telnetのセッション中断
- Cisco パスワードの最小文字数設定
- ログイン試行の制限 ~login block-forコマンド~
- Cisco 初期設定の例
- CDP ~つながっている機器はなに?~
- Ciscoルータ パスワードリカバリ
- Catalystスイッチのパスワードリカバリ