目次
OSPF Hello/Deadインターバルとは
OSPFは、Helloパケットによってネイバーを検出します。また、Helloパケットによってネイバーが正常に動作していることを確認します。Helloパケットを定期的に送信していて、ネイバーからのHelloパケットを受信できていれば、そのネイバーが正常に動作していると判断します。
Helloパケットを送信する間隔をHelloインターバルと呼び、ネイバーがダウンしたとみなす時間がDeadインターバルです。
Hello/Deadインターバルのデフォルト
Hello/Deadインターバルのデフォルトは、ネットワークタイプによって自動的に決まります。ネットワークタイプごとのHello/Deadインターバルのデフォルトは、以下の通りです。
ネットワークタイプ | Helloインターバル(秒) | Deadインターバル(秒) |
BROADCAST | 10 | 40 |
NON_BROADCAST | 30 | 120 |
POINT_TO_POINT | 10 | 40 |
POINT_TO_MULTIPOINT | 30 | 120 |
NON_BROADCAST/POINT_TO_MULTIPOINTのネットワークタイプになることは、ほとんどないので、Hello/Deadインターバルのデフォルトは10/40(秒)と考えて差し支えありません。
デフォルトでは、ネイバーから10秒ごとにHelloパケットが送信されるはずです。ネイバーからのHelloパケットを40秒間受信できなければ、ネイバーはダウンしたとみなします。
Hello/Deadインターバルの設定と確認コマンド
Helloインターバルの設定
Hello/Deadインターバルを設定で変更できます。Helloインターバルを変更するためには、インタフェースコンフィグレーションモードで以下のコマンドを入力します。
(config)#interface <interface-name>
(config-if)#ip ospf hello-interval <sec>
<interface-name> : インタフェース名
<sec> : Helloインターバル(秒)
Helloインターバルを変更すると、自動的にDeadインターバルも変更されます。Deadインターバルは、設定したHelloインターバルの4倍の値になります。
Deadインターバルの変更
Deadインターバルを変更するためには、インタフェースコンフィグレーションモードで以下のコマンドを入力します。
(config)#interface <interface-name>
(config-if)#ip ospf dead-interval <sec>
<interface-name> : インタフェース名
<sec> : Deadインターバル(秒)
Deadインターバルの値は、Helloインターバルの4倍を目安にしてください。あまりにも短すぎるDeadインターバルの設定をしてしまうと、ネイバーをきちんと維持できなくなります。なお、Deadインターバルを変更しても、自動的にHelloインターバルが変更されるわけではありません。
Deadインターバルを1秒にする
ネイバーのダウンを1秒で検出するために、Deadインターバルを1秒に設定します。そのためには、インタフェースコンフィグレーションモードで次のコマンドを入力します。
(config)#interface <interface-name>
(config-if)#ip ospf dead-interval minimal hello-multiplier <value>
<interface-name> : インタフェース名
<value> : 1秒間で送信するHelloパケット数。3-20
<value>の値は、1秒間に送信するHelloパケットの数です。つまり、Helloパケットの送信間隔は、1/<value>秒になります。
Hello/Deadインターバルを変更するときの注意
Hello/Deadインターバルを変更するときには、ネイバーと必ず一致させるようにしてください。ネイバーになるための条件に、Hello/Deadインターバルが一致していることが挙げられます。1台のルータだけでHello/Deadインターバルを変更すると、ネイバーの条件を満足できなくなってしまいます。
Hello/Deadインターバルの確認
Hello/Deadインターバルを確認するためには、OSPFが有効なインタフェースの詳細を表示するshow ip ospf interfaceコマンドを利用します。
R1#show ip ospf interface FastEthernet 0/0 FastEthernet0/0 is up, line protocol is up Internet Address 192.168.12.1/24, Area 0 Process ID 1, Router ID 1.1.1.1, Network Type BROADCAST, Cost: 1 Transmit Delay is 1 sec, State BDR, Priority 1 Designated Router (ID) 2.2.2.2, Interface address 192.168.12.2 Backup Designated router (ID) 1.1.1.1, Interface address 192.168.12.1 Flush timer for old DR LSA due in 00:02:48 Timer intervals configured, Hello 10, Dead 40, Wait 40, Retransmit 5 oob-resync timeout 40 Hello due in 00:00:07 Supports Link-local Signaling (LLS) Index 1/1, flood queue length 0 Next 0x0(0)/0x0(0) Last flood scan length is 1, maximum is 1 Last flood scan time is 0 msec, maximum is 0 msec Neighbor Count is 1, Adjacent neighbor count is 1 Adjacent with neighbor 2.2.2.2 (Designated Router) Suppress hello for 0 neighbor(s)
OSPFの仕組み
- OSPFとは? 初心者にもわかりやすくOSPFの特徴を解説
- OSPFの処理の流れ
- OSPFルータID ~OSPFルータを識別~
- OSPFルータのルータIDが重複してしまったら?
- OSPF ネイバーとアジャセンシー
- OSPF DR/BDR
- イーサネット上のshow ip ospf neighborの見え方
- OSPFネットワークタイプ ~OSPFが有効なインタフェースの分類~
- OSPF LSDBの同期処理
- 大規模なOSPFネットワークの問題点
- OSPFエリア ~エリア内は詳しく、エリア外は概要だけ~
- OSPFルータの種類
- OSPF LSAの種類
- OSPF エリアの種類
- OSPFの基本的な設定と確認コマンド [Cisco]
- インタフェースでOSPFを有効化することの詳細
- OSPF ループバックインタフェースのアドバタイズ
- OSPF Hello/Deadインターバルの設定と確認コマンド
- OSPFコストの設定と確認
- OSPFルータプライオリティの設定と確認コマンド
- OSPFネイバー認証の設定 ~正規のルータとのみネイバーになる~
- バーチャルリンク上のネイバー認証
- OSPF スタブエリアの設定と確認[Cisco]
- OSPF スタブエリアの設定例 [Cisco]
- OSPFデフォルトルートの生成 ~default-information originateコマンド~
- OSPFデフォルトルートの生成 ~スタブエリア~
- OSPF バーチャルリンク ~仮想的なエリア0のポイントツーポイントリンク~
- OSPF バーチャルリンクの設定と確認 [Cisco]
- OSPF バーチャルリンクの設定例 [Cisco]
- OSPF 不連続バックボーンのVirtual-link設定例
- OSPFのルート集約と設定
- OSPFルート集約の設定例(Cisco)
- OSPF ルート種類による優先順位
- OSPFネイバーの状態がExstartでスタックする原因
- OSPFパケットの種類とOSPFヘッダフォーマット
- OSPF Helloパケット
- OSPF DD(Database Description)パケット
- OSPF LSR(Link State Request)パケット
- OSPF LSU(Link State Update)パケット
- OSPF LSAck(Link State Acknowledgement)パケット
- OSPF 再配送ルートの制限 ~redistribute maximum-prefixコマンド~
- OSPFでのディストリビュートリスト/プレフィクスリストの動作
- OSPFでのディストリビュートリストの設定例 Part1
- OSPFでのディストリビュートリストの設定例 Part2
- OSPFのLSAフィルタの概要 ~LSAタイプ3/タイプ5をフィルタ~
- LSAタイプ3のフィルタ設定例
- LSAタイプ5のフィルタ設定例
- 3階層モデルLANのOSPFルーティング
- 演習:実践的なOSPFルーティング Part1:OSPFの基本設定
- 演習:実践的なOSPFルーティング Part2:デフォルトルートの生成
- 演習:実践的なOSPFルーティング Part3:スタブエリア
- 演習:実践的なOSPFルーティング Part4:ルート集約
- 演習:実践的なOSPFルーティング Part5:トラブルシューティング
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part1
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part2
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part3
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part4
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part5
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part6
- Cisco OSPFv3 for IPv4の設定と確認コマンド
- Cisco OSPFv3 for IPv4の設定例
- OSPFv3の設定例 [Cisco]
- OSPFv3 ルート集約の設定例 [Cisco]