最近、よく見かけるIP電話の特集です。でも、これまでの日経コミュニケーションのIP電話の特集とはちょっと趣が違います。これまでのIP電話の特集は、大手企業で数百台から数千台、場合によっては1万台規模のIP電話を導入して、コスト削減効果がウン千万円、ウン億円というものでした。
でも、今回のIP電話の特集は中小企業が導入したときの通信コスト削減を取り上げています。コスト削減額としては、多くて数万円という規模です。だからといって、今回の特集がこれまでの特集に比べて見劣りするかというと、そんなことありません。
大企業がIP電話を導入してウン千万円、ウン億円のコスト削減を実現するのは、とても素晴らしいことです。でも、そんな例ってごく一部に過ぎません。日経コミュニケーションの読者の方は、キャリア、ISPに勤務されている方が多いでしょう。そういった方々にとって、日ごろお付き合いしているお客さんは、大企業のお客さんのときもあれば、中小企業のお客さんのときもあるでしょう。どちらかというと、中小企業のお客さんの方が多いと思います。
ですから、大企業でのIP電話の導入のような威勢のいい話よりも、中小企業でたとえ額はそれほど多くなくても、IP電話を導入することでどれぐらいコストを削減することが可能かという、たくさんのモデルを紹介するのはとても意味があることだと考えています。各企業ごとにいろんな工夫をされているようで、読んでいて面白かったです。
また、IP電話の導入の特集が中小企業を舞台にしたものになってきているということは、それだけIP電話が普及してきている証拠とも取れますね。
ただ、この特集を見るうえで注意しなくてはいけないのが、単純なVoIPネットワークと、電話機までIP化しているIPテレフォニー(IPコミュニケーション)の明確な区別がされていないということです。
日経コミュニケーションでは、もう既知のこととして扱っているのかもしれませんが、単純なVoIPとIPテレフォニーの違いをきちんと認識しておいた方がいいです。この2つでは、必要な機器も導入費用もかなり変わってくるので。
VoIPとIPテレフォニー(IPコミュニケーション)の違いについては、これまでにも何回かご紹介したことがありますが、日経IT Proの「いまさら聞けないIP電話講座」がオススメです。ぼくのブログでも、簡単なコメントを書いていますので、参考にしてください。
このページに関するぼくのブログの記事
http://blog.livedoor.jp/gene_survive/archives/206700.html
http://blog.livedoor.jp/gene_survive/archives/249343.html
http://blog.livedoor.jp/gene_survive/archives/302048.html
http://blog.livedoor.jp/gene_survive/archives/330399.html
あと、紹介されている企業が利用しているサービスで面白いなぁと思ったのが、フォーバルのFTフォンです。光ファイバとIP電話を同時に提供し、なおかつ代表番号を既存のものを使うことができるというサービスです。Webサイトだけでは、フォーバルFTフォンを使ったネットワーク構成がどうなるのか、いまいちよくわかりませんでしたが、代表番号をそのまま使えるというのは、すごくいい訴求効果がありそうですね。 電話番号変わってしまうと、名刺や封筒なんかの更新コストがかかりますし、「050」の番号の認知度が高くないというデメリットがなくなるので。
技術的な話とは関係ないのですが、P74に乗せられているフォーバル社長の大久保さんのコラムで、マーケティングの考え方が勉強になります。FTフォンをフロントエンドサービスにして、それに付随する形でより利益率の高いブロードバンドサービスをバックエンドサービスにしているという、オーソドックスながら効果的な戦略です。
いま、ちょこちょことマーケティングの本を読んだりして、勉強しているのでこのコラムの話は思わず、「にやっ」としてしまいました(笑)。
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