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NETWORK WORLD 2005.2 「90分でわかるレイヤー4-7スイッチ P56～P67」 by Gene」

いまのLANは、ルータの出番がだんだんと少なくなってきています。ルータにとってかわって、LANではレイヤ3スイッチを利用することの方が多いでしょう。ルータのルーティング機能をハードウェアで実装して、高速になっているLANのトラフィックを処理するためにレイヤ3スイッチの導入が進んでいます。

※「ルータとレイヤ3スイッチの違いって何？」も参考にどうぞ

そして、さらにスイッチは進化して、ファイアウォールやIDSなどのセキュリティ機能、そして複数のサーバに負荷分散するための機能を備えるようになっています。
そうした、セキュリティ機能、負荷分散機能を備えたスイッチが「レイヤ4-7スイッチ」です。レイヤ4-7スイッチは、「Webスイッチ」や「アプリケーションスイッチ」と呼ばれることもありますね。

そんなレイヤ4-7スイッチについて、

• どんなことができるのか？
• どういうネットワーク構成にすればいいのか？

記事は、下記の三部構成です。

Part1：Dos攻撃からネットワークをしっかりと守る
Part2：ロードバランスやSSL機能で安定したネットワークを実現
Part3：レイヤ4-7スイッチを導入した目的別ネットワーク構成

Part1の冒頭のキャプションで「普通のスイッチと比べてどこがすぐれているのか？」とありますが、いわゆる普通のスイッチと思われるレイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチとの比較はほとんどないですね。
ちょっと残念。ま、紙面の都合上もあると思うのですが、レイヤ2スイッチが主にイーサネットヘッダを見てフレームの処理をし、レイヤ3スイッチが主にIPヘッダを見てパケットを処理することをもうちょっと触れてもらえるとよかったかなぁと。
そうすれば、「レイヤ～スイッチ」というのは、どのレイヤのヘッダ情報を見て処理をするかで、名前がつけられているんだなぁということがより明確になります。
あと、パケットのつながりのアプリケーションフローとして認識するということもできれば図が欲しかったですね。文章として、少し説明がありますけど、ビジュアルで見せるほうがよりわかりやすいので。

Part2が、主なレイヤ4-7スイッチの機能についての解説です。ここで、簡潔にレイヤ4-7スイッチのメリットが説明されています。

例えば、これまではそれぞれ専用機器で実現されていたSSL機能やロードバランス機能を、レイヤ4-7スイッチでは1台で賄うことができる。これにより、複雑な構成になりがちであったネットワーク設計をしんぷるにすることが可能だ。また、アクセス制御を柔軟に行えるので、セキュリティも強化できる

売込みをするセールスの人のためのワンポイント説明にそのまま使えそうです。なんでもかんでも1台でやってしまうことに伴う危険性もあるのですが、ネットワーク構成をシンプルにすることができれば、管理に要するコストも下がるでしょう。機器を設置する場所も少なくて済みますし。ブレードサーバが普及してきているのも、ひとつの要因として設置スペースの削減というメリットがあるからだと思います。それと同じように、レイヤ3スイッチとファイアウォール、SSLアクセラレータ、ロードバランサーを組み合わせるよりも、レイヤ4-7スイッチ1台で済めば、管理も楽だし設置スペースも取りません。

Part3では、レイヤ4-7スイッチを使ったネットワーク構成例を挙げています。ただ、ぼくはこの記事にあるような物理トポロジなんだか、論理トポロジなんだかよくわからないトポロジ図を描いているのはあんまり感心できませんね。
いまでは、ほとんどVLANを使ってスイッチで論理的なネットワークを構成しているのに、バス型チックなトポロジを描いていたら、本当のネットワーク構成がわかりません。
レイヤ3スイッチなんかでネットワークを組むときは、きちんと物理トポロジと論理トポロジを明確にしてもらいたいですね。<

記事のタイトルに「90分」とありますが、ページ数で10ページなんで90分もかからないでしょう。せいぜい30分もあれば読めるぐらいの分量です。Par1、Part2でレイヤ4-7スイッチでどんなことができるかを一通り知ることができます。
Part3でネットワーク構成が描いていますが、それほど具体的ではないので、あくまでも参考レベルです。ま、具体的なことはほんとにケースバイケースになるのでなかなか難しいから仕方ないでしょう。

レイヤ4-7スイッチについての基本的な知識を得るという目的は十分果たせる記事だと思います。