日経コミュニケーション 2005.8.15 『ブロードバンドの"遅延"を一気に解決!WANの実効速度を10倍にする』 by BOSE

(所属カテゴリー:日経コミュニケーション---投稿日時:2005年8月24日)

ブロードバンドは企業向けよりもむしろ個人向けの方が先行して進んできました。ADSLを中心に、1.5M、8M・・と増えていって、いまや光ファイバを使用して「ギガ」をうたったサービスが出てきてます。

そのたびにいつも、

「個人の利用でそんな広帯域使いきれるわけ無いのに」

と思っていました。
と言うのは、通常のTCPの通信は、ネットワーク遅延の影響で、どうしてもスループットが頭打ちになってしまうからです。

僕は仕事上、企業向けネットワークの導入作業をすることも多いのですが、企業ユーザからも、

「ブロードバンドの回線導入したのに、ぜんぜんスループット上がんないんだけど」

と問い合わせを受けたことが何度かありました。
そういった場合は、FTPのファイルダウンロードやTCPの速度計測ツールでスループットを測っていたユーザがほとんどでした。

記事にあるように、TCPのスループットはウィンドウズサイズと遅延値から限界値の速度が決まってしまいます。例えば、WindowsXPの標準ウィンドウサイズ(16Kバイト)で遅延値が20ミリ秒という値で計算すると、約6Mb/sという速度が限界なのです。

それが原因で、CADなどの大容量を扱う企業ユーザの中には、ブロードバンドを導入しても思ったよりファイルダウンロードの速度が上がらないと言う悩みがあったようです。

そこで、WAN高速化機器なるものが今回の記事で特集されています。高速化のやり方は機器それぞれですが、主に次の3つの手法です。

  1. データ圧縮
  2. TCP通信とアプリケーション処理の最適化
  3. キャッシュ

1と3でなぜ高速化ができるかは、簡単にイメージが持てると思います。2は最初に説明した遅延の問題を解決する手法です。

これはキャッチボールをイメージするとわかりやすいと思います。例えば往復10回のキャッチボールをする場合、5メートルの距離で実施すれば、すぐに終わってしまいますが、80メートルの遠投キャッチボールだと、同じ10回でもかなり時間がかかってしまいますよね。

その理由は、ボールが到達するまでの時間=遅延 の影響です。

ところが、キャッチボールのルールをちょっと変えてみて、一度に10個のボールをまとめて投げてよいことにします。(一度に10個のボールは投げられないよ!という突っ込みは無しですよ)
そうすれば、80メートルの遠投たった1回で、ボール10個分のやりとりができます。すると、普通にキャッチボールをするのと比べて、相当早く終わらせることができます。

データ伝送もこれと同じです。パケットというデータをキャッチボールしながらファイル等をダウンロードし ているわけです。今回の記事で紹介されている機器は、データ伝送のルールを独自に変更してしまって、キャッチボールの時間を劇的に短縮してしまうものです。

こういった機器、流行りそうですね。実利用で本当にスループットが10倍になるかどうかは疑問ですが、それでもかなりの効果が期待できそうです。数十メガ数百メガバイト単位のファイルをやり取りする場合は、きっと効果は絶大でしょう。

ただし一言で「WAN高速化機器」といっても、その登場の経緯や実現する技術は各社さまざまらしく、かなり特徴に差がありそうです。TCPはフロー制御や輻輳制御のしくみがよくできているのですが、WAN高速化機器はそういった機能面もちゃんと大丈夫だろうか?と言う疑問もあります。

個人的には、次世代TCPのやCIFSのデメリットを改善したプロトコルの登場など、根本的な進歩を早く期待したいな、と思います。じゃないと個人ユーザは高速化のメリットを享受できませんからね。

by BOSE 自己投資のための読書 

※BOSEさん、ありがとうございます。アクセス回線が高速化してくると、それにともなって、上位のアプリケーションも高速化に対応してくる・・・通信が階層構造をとっているっていうことをしみじみと感じました。(Gene)

日経コミュニケーションの詳細、購読申し込みはこちら↓

Google
Web n-study.com

各コンテンツの最新記事

ネットワークのおべんきょしませんか?(無料ネットワーク技術情報)

有料コンテンツライブラリ(ITエンジニア教育資料)

ベンダ資格受験記

オススメ!ネットワーク技術雑誌・書籍

MindMapでおべんきょ

結果を出せるコーチング

Geneのつぶやき

The Power of Words

スポンサードリンク

スポンサードリンク