日経コミュニケーション 2005.9.15 『主役交代相次ぐ企業ネット P56~74』 by Gene

(所属カテゴリー:日経コミュニケーション---投稿日時:2005年9月24日)

日経コミュニケーションの調査で、企業ネットワークの『今』を読み解く、恒例の特集です。2005年は、どうやら大きな変化のスタートの年になりそうです。

今回は、1341社から「アクセス回線」「WANサービス」「IP電話サービス」の調査をした結果、

「信頼性」を多少犠牲にしてでも、アクセス回線やWANを「高速化」したい

という実態が浮き彫りになっています。

具体的には、幹線系のアクセス回線では、デジタル専用線やxDSLに代わって、FTTHが伸びています。幹線系のWANサービスも、広域イーサネットが伸びてきているという具合です。

アクセス回線について、もう少し詳しく見ます。
ちょっとアクセス回線についておさらいです。アクセス回線は、インターネットやIP-VPN、広域イーサネットなどのWANサービスに接続するための回線です。足回り回線と呼ばれることもありますね。
日経コミュニケーションの調査では、アクセス回線としてFTTHを利用している企業は16.1%にも上るそうです。前年から約3ポイント上昇で、第1位となっています。そして、対象を1000人以上の大企業にしぼると、イーサネット専用線や電力系、NTTの広域イーサネットといったイーサネット系のアクセス回線が40%と圧倒的です。

この理由は、記事にも述べられていますが、高速で安価だからですね。デジタル専用線やATM専用線では、高速になればなるほど、コストが跳ね上がります。これらの回線を利用するためのインタフェースも効果になってしまいます。
それに比べて、FTTHやイーサネット系のアクセス回線であれば、インタフェースは安価なイーサネットですみます。さらに、帯域の保証がなかったり、一部のみだったりしますが、10M/100M/1Gbpsの高速な接続できるからですね。
特に最近では、Webアクセスやさまざまなアプリケーションでトラフィックが逼迫しているので、高速・広帯域化が避けられない状況です。そうなると、やっぱり、高速で安価な回線が求められるのは当然ですね。

「安い分、高速でも落ちて当たり前なんでしょ?」

と思いきや、Bフレッツはかなり安定しているようです。1年間で障害で落ちたのも1回ぐらいという安定度です。帯域の保証はないものの、落ちなければ高速である分、だいぶ使えます。Bフレッツ以外のFTTHサービスについては書いていないのですが、同程度の安定は期待できるでしょう。すると、当然、いまADSLなどを利用している企業は、FTTHに移行を検討するところも増えてくるでしょうね。これから、FTTHは注目です。

そして、WANサービスについてももう少し詳しく見ていきます。
大規模拠点を接続する幹線系のWANサービスのトップは、依然としてIP-VPNです。ただ、IP-VPNと広域イーサネットの差がみるみる縮まっているようです。

幹線系WANサービス
2004年 IP-VPN-36.3% 広域イーサネット-13.9%
2005年 IP-VPN-32.7% 広域イーサネット-22.9%

日経コミュニケーションの分析では、イーサネット系アクセス回線の普及に伴って広域イーサネットが採用されているとのことです。その証拠として、広域イーサネットを利用している企業のアクセス回線の7割は、イーサネット系アクセス回線のようですね。IP-VPNでもイーサネット系アクセス回線を利用することはできるものの、広域イーサネットとイーサネット系アクセス回線という組み合わせの方が安くもなりますし。

IP-VPNだとルーティングの構成がシンプルになるので、個人的には好きです。一方、広域イーサネットは、ルーティングの構成をきちんと考えて設計しなければいけないです。ま、これは自由度が高いっていえますが・・・でも、WANサービス選択のポイントは、レイヤ3のルーティングの観点よりも、「高速性」と「通信コストの削減」のウェイトが大きいようです。
広域イーサネットの方が、IP-VPNよりも高速な接続を提供しているサービスが多いですし、利用できる帯域幅に対するコストも低いですね。そのため、この広域イーサネットの伸びはこれからも続きそうです。
ただ、IP-VPN、広域イーサネットのどっちか二者択一というわけでもないです。過去の日経コミュニケーションの事例にもたくさん出ているように、IP-VPNと広域イーサネットの組み合わせも有効でしょう。

中小規模の拠点を接続する支線系のサービスでも、大きな変化が起こっています。

支線系WANサービス
2004年 IP-VPN-31.4% インターネットVPN-18.9%
2005年 インターネットVPN-30.0% IP-VPN-26.5%

インターネットVPNがIP-VPNを抜き去って、1位になっています。この最大の原因は、やはりコストですね。FTTH、ADSLなどの安価なブロードバンドインターネットアクセスが可能な現在では、インターネットVPNのコストメリットは明らかです。
でも、見かけ上の通信コストは少なくなっても、実際にインターネットVPNを運用するためのオペレーションコストは決して少なくないんですね。インターネットVPNのオペレーションコストを削減するために、運用・管理をアウトソースするマネージドインターネットVPNが増えているようです。

今回の特集には、他にもIP電話の動向などについても調査結果がまとめられています。
ネットワークの設計に携わるネットワークエンジニアの方や、お客さんにネットワークサービスを提案する営業の方にとって、とても参考になる記事なので、ぜひご覧ください。

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