「日経コミュニケーション 2007.1.1」『2010年の通信ネットワーク』 by Gene

(所属カテゴリー:日経コミュニケーション---投稿日時:2007年1月14日)

2007年が明けた早々に『2010年の通信ネットワーク』というタイトルで少々気 が早いように思う日経コミュニケーションの特集です。でも、2007年はネット ワーク技術においてすごく大きな転換点になる年なんじゃないかと思っていま す。それは、有線ブロードバンドがかなり浸透し、無線ブロードバンドのサー ビスも開始されようとしていて、いつでもどこでも高速にネットワークに接続 できる環境が整ってきているからです。2007年の大きな転換点から3年が経過 した2010年の通信ネットワークは非常に興味深いです。

日経コミュニケーションの新年第1号では、3年後の未来の通信ネットワークを 予測しようという意欲的な特集を組んでいます。2010年の通信ネットワークを 次の4つの視点から予測しています。

  • 視点1 サービス・技術
  • 視点2 事業者動向
  • 視点3 制度・政策
  • 視点4 企業ネットワーク

以上の4つの視点からかなりのページ数を割いて記事を構成しています。この 中でぼくが一番興味深く思った視点1を取り上げてみたいと思います。

視点1はサービス・技術ということで、3年後の通信ネットワークではどのよう な技術があって、それを利用したサービスとしてどんなものがあるのかという ことが中心です。ここでのキーワードは「NGN(Next Generation Network)」で す。

NGNは、最近のIT系のニュースでよく目にするキーワードですね。NGNは、その 名前の通り、「次世代ネットワーク」です。日本を含む各国の通信事業者が構 築を進めている新しいネットワークインフラというわけです。

じゃ、どういったところが「次世代」なんでしょうね???ぼくが理解してい るNGNが次世代である点は、ネットワークがより賢く(インテリジェントに)な るということです。じゃ、賢い(インテリジェントな)ネットワークとはなんで しょう?

ネットワークを利用すると、あるコンピュータから別のコンピュータに簡単に データを転送することができます。ファイル共有やWebブラウジング、電子メ ールなどのネットワークアプリケーションは、ネットワークを利用してあるコ ンピュータから別のコンピュータにデータを転送しています。データを転送す ることがネットワークの基本的な機能です。
でも、ネットワークがどんどん普及して、いろんなユーザがネットワークに接 続したり、IP電話などのアプリケーションが登場するにしたがって、単純にデ ータを転送するという機能だけでは足りなくなってきました。データ転送+α が求められてきています。
この「+α」の部分がネットワークの賢さ(インテリジェンス)です。

ネットワークのインテリジェンスの例として、IP電話やテレビ会議システムの パケットはリアルタイム性が大事なので優先して転送するといったQoS(Quality of Sevice) 機能があります。また、ネットワークを利用するユーザが誰であるかを特定す るための認証機能もあります。認証した結果に基づいて、ユーザに対する権限 を与えたり、サービスの課金を行う機能もあります。認証や権限、課金をひっ くるめてAAA(Authentication Authorization Accounting)機能ともいいますね。
転送するデータが盗聴されたり改ざんされないような暗号化機能。特定のサー バやネットワークに負荷が集中しないように負荷を分散させるロードバランシ ング機能などなど。
こうした「+α」のネットワークの機能を活用して、現在のネットワークシス テムは構成されています。

現在のネットワークシステムでは、データ転送以外の+αの機能は、通信事業 者が提供しているものもありますが、ユーザ自身が自前で実装していることが 多いです。

NGNは、単純にデータを転送するだけでなく、もっとインテリジェントに転送 するより高機能化されたネットワークインフラと言えるでしょう。
また、固定電話網、携帯電話網、WANサービス網、IP網などのネットワークイ ンフラをシームレスに統合することも目指しています。
NGNのネットワークインフラにはさまざまな機能が内蔵されるわけですが、そ れらの機能を外部から利用するためのAPI(Application Programing Interface) の公開も大きな特徴です。
通信事業者だけが通信サービスをデザインするのではなく、NGNが提供するAPI を利用して外部の開発者が新しいサービスをデザインすることが可能にもなり ます。

こうしたことを実現するために、NGNは次の2つに機能を分離しているようです。

  • ネットワーク転送機能
  • サービス制御機能

ネットワーク転送機能は、そのままですね。データ転送を提供します。そして、 サービス制御機能としてセッション制御やQoS、認証、課金、位置情報などの を提供し、APIでこれらの機能を利用できるようにしています。

2006年12月に開催された「ITU TELECOM WORLD 2006」でNGN時代のサービスが たくさん展示されていたようです。NGNのサービス制御を利用して、携帯電話 やパソコンなどの複数のデジタルデバイスを連携させるものが多いですね。
ただ、記事を見ていて「へぇ~~」とは思うんですけど、「おお、これは!」 と感動するようなものはなかったです・・・

NGNでネットワークインフラは飛躍的に高機能になって、いろんな便利なサー ビスが登場するんだろうなぁという気はします。でも、現状ではまだNGNを活 用したキラーアプリケーションは見えてきていないなぁと思いました。

「こんなのがあったらいいな」ということを考えておいて、それをNGNのイン フラを活用して実現するアイデアを得られれば、起業するネタになるかもしれ ませんね。

今回の日経コミュニケーションの特集は、非常に興味深く読みました。みなさ んもぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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