目次
ホストルートとは
ホストルートとは、サブネットマスク/32のルート情報です。最長一致検索により、ホストルートは最も優先されるルート情報です。
ホストルートが登録されるのは、以下のようなケースです。
- ルータのローカルルート
- ループバックインタフェースのIPアドレスの設定
- PPPネイバールート
ルータのローカルート
ルータのインタフェースにIPアドレスを設定すると、そのネットワークアドレスが直接接続のルート情報としてルーティングテーブルに登録されます。直接接続のルート情報はコード「C」です。
Cisco IOS 15.0以降では、直接接続のルート情報に加えて、ローカルルートも登録されます。ローカルルートは、コード「L」でルータのインタフェースに設定されているIPアドレスを示すホストルートです。
ローカルルートの例
ローカルルートの例を挙げます。ルータのGigabitEthernet0にIPアドレス192.168.1.254/24を設定します。
interface GigabitEthernet0 ip address 192.168.1.254 255.255.255.0 no shutdown
すると、ルーティングテーブルにはコード「C」で192.168.1.0/24が登録されます。それに加えて、コード「L」で192.168.1.254/32が登録されます。
Center#show ip route Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2 E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2 i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2 ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route o - ODR, P - periodic downloaded static route, + - replicated route Gateway of last resort is not set 192.168.1.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks C 192.168.1.0/24 is directly connected, GigabitEthernet0 L 192.168.1.254/32 is directly connected, GigabitEthernet0
ループバックインタフェースのIPアドレスの設定
ルータの管理用にループバックインタフェースを作成して、IPアドレスを設定することができます。このときサブネットマスク/32として、IPアドレスを設定することが多いです。ループバックインタフェースの先には他のデバイスが存在することはなく、/32のサブネットマスクでただ1つのIPアドレスを設定することになります。ルーティングテーブル上はサブネットマスク/32のホストルートになります。
PPPネイバールート
PPPのカプセル化を行っているシリアルインタフェースで、対向のルータのIPアドレスをホストルートとして自動的にルーティングテーブルに登録します。これをPPPネイバールートと呼んでいます。PPPネイバールートはコード「C」です。
PPPネイバールートの例
PPPネイバールートの例です。R1とR2をPPPカプセル化のシリアルインタフェースで接続しています。
R1
interface Serial0/0 ip address 192.168.1.1 255.255.255.0 encapsulation ppp no shutdown
R2
interface Serial0/0 ip address 192.168.1.2 255.255.255.0 encapsulation ppp no shutdown
R1のルーティングテーブルにはR2のIPアドレス192.168.1.2を表すホストルート192.168.1.2/32がコード「C」で登録されます。また、R2ではR1のIPアドレス192.168.1.1を表すホストルート192.168.1.1/32がコード「C」で登録されます。
R1
R1#show ip route ~省略~ Gateway of last resort is not set 192.168.1.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks C 192.168.1.0/24 is directly connected, Serial0/0 C 192.168.1.2/32 is directly connected, Serial0/0
R1
R2#show ip route ~省略~ Gateway of last resort is not set 192.168.1.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks C 192.168.1.1/32 is directly connected, Serial0/0 C 192.168.1.0/24 is directly connected, Serial0/0
ホストルートのポイント
- ホストルートはサブネットマスク/32のルート情報
- ホストルートが登録されるケースは主に3通り
- ルータのローカルルート
- ループバックインタフェースのIPアドレス設定
- PPPネイバールート
IPルーティングのキホン
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- ルータでネットワークを分割
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- VRRPの設定と確認コマンド [Cisco]
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- VRRP ルーティングテーブルのトラッキング設定例
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- Cisco GLBPの設定と確認
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