目次
デフォルトルート
ルート集約をもっとも極端にしたのがデフォルトルートです。デフォルトルートは「0.0.0.0/0」で表すルート情報で、すべてのネットワークを集約しています。つまり、デフォルトルートをルーティングテーブルに登録しておけば、すべてのネットワークのルート情報を登録していることになります。
デフォルトルートはすべてのネットワークを表しています。デフォルトルートをルーティングテーブルに登録しているルータには、未知のネットワークはありません。ただ、非常に大雑把な形で登録しています。
そして、他に使えるルート情報がないときに最後にデフォルトルートを使ってパケットをルーティングします。
デフォルトルートがなぜすべてのネットワークのルート情報を登録していることになるかは、ルーティングテーブルの検索方法である最長一致検索(ロンゲストマッチ)がポイントです。最長一致検索については、以下の記事をご覧ください。
デフォルトルートの利用例
デフォルトルートの利用例として、インターネットあてのパケットをルーティングするために、デフォルトルートをルーティングテーブルに登録することが多いです。インターネットには膨大な数のネットワークが存在しますが、パケットをルーティングするときにネクストホップが共通になっていることがほとんどです。そこで、インターネットの膨大な数のネットワークをデフォルトルートにすべて集約してルーティングテーブルに登録します。
なお、デフォルトルートはインターネットあてのルーティングだけに使うわけではありません。企業ネットワークの小規模な拠点のルータには、インターネットと他の拠点のネットワークをすべてデフォルトルートに集約して、ルーティングテーブルに登録することもあります。たとえば、次の図のネットワーク構成ではR1にとって、本社の拠点内のネットワークあてもインターネットあても、パケットをルーティングするためのネクストホップはすべて共通です。インターネットのネットワークだけでなく、本社内のネットワークもデフォルトルートに集約することができます。
スタティックルートだけではない
「デフォルトルートはスタティックルートで設定する」と思いこんでいる方をときどきみかけますが、そんなことはありません。デフォルトルートの設定例で、スタティックルートとして設定していることが多いからでしょう。
デフォルトルートも集約ルートのひとつです。ですから、スタティックルートの設定で、デフォルトルートをルーティングテーブルに登録することもできます。ルーティングプロトコルによって、ルータ間でデフォルトルートのルート情報を送受信してルーティングテーブルに登録することもできます。
Ciscoルータでデフォルトルートをスタティックルートとして設定するには、以下の記事をご覧ください。
RIPでのデフォルトルート生成の設定例(Cisco)を以下の記事にまとめています。
OSPFでのデフォルトルート生成の設定例(Cisco)を以下の記事にまとめています。
EIGRPでのデフォルトルート生成の設定例(Cisco)を以下の記事にまとめています。
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