ルート情報の登録方法

ルーティングテーブルにルート情報を登録する方法としてとして、次の3つの方法があります。

  • 直接接続
  • スタティックルート
  • ルーティングプロトコル

この3つの方法について、概要を解説します。

直接接続のルート情報の登録

直接接続のルート情報は、最も基本的なルート情報です。ルータにはネットワークを接続する役割があります。直接接続のルート情報は、その名前の通りルータが直接接続しているネットワークのルート情報です。

直接接続のルート情報をルーティングテーブルに登録するために、特別な設定は不要です。ルータのインタフェースにIPアドレスを設定して、そのインタフェースを有効にするだけです。自動的に設定したIPアドレスに対応するネットワークアドレスのルート情報が、直接接続のルート情報としてルーティングテーブルに登録されます。

図 直接接続のルート情報
図 直接接続のルート情報

CiscoルータのIOSのバージョンによっては、IPアドレスを設定してインタフェースがアクティブになると直接接続のルート情報に加えて、ローカルのルート情報もルーティングテーブルに登録されます。ローカルのルート情報とは、ルータのインタフェースに設定されているIPアドレス自体の情報で、サブネットマスク/32で登録されます。以下は、IPアドレスを設定して、直接接続のルート情報が登録されたCiscoルータのルーティングテーブルのサンプルです。

Center#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
       D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
       N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
       E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
       i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
       ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
       o - ODR, P - periodic downloaded static route, + - replicated route

Gateway of last resort is not set

      192.168.1.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C        192.168.1.0/24 is directly connected, GigabitEthernet0
L        192.168.1.254/32 is directly connected, GigabitEthernet0
サブネットマスク/32の特定のIPアドレスを表すルート情報は「ホストルート」とも呼びます。

ルーティングテーブルに登録されているネットワークのみIPパケットをルーティングできます。つまり、ルータは特別な設定をしなくても、直接接続のネットワーク間のルーティングが可能です。逆に言えば、ルータは直接接続のネットワークしかわかりません。ルータに直接接続されていないリモートネットワークのルート情報をルーティングテーブルに登録しなければいけません。つまり、ルーティングの設定とは、基本的にリモートネットワークのルート情報をどのようにしてルーティングテーブルに登録するかということです。

リモートネットワークのルート情報の登録

リモートネットワークのルート情報を登録するための方法が次の2つです。

  • スタティックルート(スタティックルーティング)
  • ルーティングプロトコル(ダイナミックルーティング)

ルーティングが必要なリモートネットワークごとにスタティックルートまたはルーティングプロトコルによって、ルート情報をルーティングテーブルに登録します。それにより、リモートネットワークへのIPパケットのルーティングが可能になります。スタティックルートでリモートネットワークのルート情報を登録することを指して「スタティックルーティング」と呼びます。また、ルーティングプロトコルでリモートネットワークのルート情報を登録することを「ダイナミックルーティング」と呼びます。

スタティックルートはルータにコマンドを入力するなどして、ルート情報を手動でルーティングテーブルに登録します。一方、ルーティングプロトコルはルータ同士でさまざまな情報を交換して自動的にルーティングテーブルにルート情報を登録します。ルーティングプロトコルによって、ルータがルート情報を送信することを指して、「アドバタイズ(広報または広告)」という表現をよく利用します。

ルーティングプロトコルには、次のような種類があります。

  • RIP(Routing Information Protocol)
  • OSPF(Open Shortest Path First)
  • EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)
  • BGP(Border Gateway Protocol)

RIPは比較的規模が小さい企業のネットワークでよく利用されるシンプルなルーティングプロトコルです。OSPFは中~大規模な企業のネットワークで利用されるルーティングプロトコルです。EIGRPはCisco独自のルーティングプロトコルで大規模な企業ネットワークでよく利用されています。そして、インターネット上のルータは、ルーティングプロトコルとして主にBGPを利用しています。インターネット上には膨大な数のネットワークが存在しています。膨大な数のネットワークのルート情報を効率よく扱うためにBGPが必要です。

ポイント

  • IPアドレスを設定することで、直接接続のルート情報がルーティングテーブルに登録される
  • 直接接続ではないリモートネットワークのルート情報をスタティックルートまたはルーティングプロトコルでルーティングテーブルに登録する

関連記事

Ciscoルータでのスタティックルートの設定について、以下の記事で詳しく解説しています。

RIPについてさらに詳細は、以下の記事をご覧ください。

OSPFについてさらに詳細は、以下のページをご覧ください。

EIGRPについてさらに詳細は、以下のページをご覧ください。

BGPについてさらに詳細は、以下のページをご覧ください。

IPルーティングのキホン