目次
ルーティングプロトコル分類の概要
RIP(Routing Information Protocol)、OSPF(Open Shortest Path First)、BGP(Border Gateway Protocol)などのルーティングプロトコルは、次の3つの観点から分類することができます。
- ルーティングプロトコルの適用範囲による分類
- ルーティングプロトコルのアルゴリズムによる分類
- ネットワークアドレスの認識による分類
まず、ルーティングプロトコルの適用範囲による分類です。
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ルーティングプロトコルの適用範囲
ルーティングプロトコルは、その適用範囲によって、「内部ゲートウェイプロトコル(Interior Gateway Protocol s: IGPs)」と「外部ゲートウェイプロトコル(Exterior Gateway Protocols : EGPs)に分類することができます。
「内部」「外部」とありますが、これは「自律システム(Autonomous System : AS)」と呼ばれるものの外部か内部かということを指しています。自律システムには、狭義と広義の意味があります。
「狭義のAS:同一のルーティングプロトコルを利用しているネットワークの集合」
「広義のAS:ある管理組織が同一の管理ポリシーに従って運用しているネットワークの集合」
狭義の意味は、たとえばOSPFならOSPFでルーティングの設定をしているネットワークの集合を指しています。OSPFでは、ASBR(Autonomous System Boundary Router)という種類のルータがあります。OSPFのASBRの「AS」は狭義の意味のASです。
IGPs、EGPsの分類で考えているASは、広義の「同一の管理ポリシーに従って運用されているネットワークの集合」です。簡単に言えば、ある組織のネットワーク全体が自律システムです。広義のASのネットワークは、管理している組織がアドレスやルーティングのポリシーを決め、機器を導入して構築し、運用管理を行います。AS内のネットワークのルート情報を扱うルーティングプロトコルがIGPsです。IGPsの分類の具体的なルーティングプロトコルには、RIP(Routing Information Protocol)、OSPF(Open Shortest Path First)などがあります。
現在、広く普及しているインターネットは、世界規模でASが相互に接続しているネットワークです。インターネットが「ネットワークのネットワーク」と呼ばれる所以です。
インターネット上で、各ASを識別するためにAS番号を用いています。AS間で相互に通信を行うためには、各ASが管理しているネットワークのルート情報を交換します。そのために利用するルーティングプロトコルがEGPsです。EGPsの分類の具体的なルーティングプロトコルはBGP(Border Gateway Protocol)です。
企業のネットワークは、ひとつの組織のネットワークです。つまり、企業ネットワーク内で利用するルーティングプロトコルはRIPやOSPFなどのAS内部で利用するIGPsです。ただし、IP-VPNサービスを利用して拠点間を接続しているときには、ある組織のネットワーク内でBGPを利用することもあります。以下の表に、IGPsとEGPsの特徴をまとめています。
特徴 | IGPs | EGPs |
---|---|---|
適用範囲 | AS内部 | AS間 |
プロトコル例 | RIPv1/v2、EIGRP、OSPF、IS-IS | EGP、BGP |
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