目次
ルート集約とは
ルート集約(経路集約)とは、複数のネットワークアドレスのルート情報を1つにまとめることです。まず、ルート集約がなぜ必要かについて考えましょう。ルーティングするためには、目的のネットワークのルート情報が必要です。ですが、すべてのネットワークのルート情報をルーティングテーブルに登録するのは大変です。たとえば、大規模な企業ネットワークであれば、数百~1000以上の数のネットワークが存在することがあります。また、インターネット上には数え切れないほどの膨大な数のネットワークが存在します。
スタティックルートでこれほど膨大な数のルート情報を設定することは非常に難しいです。ルーティングプロトコルによってはそれほど多くの数のルート情報を扱うことができないので、膨大な数のルート情報をルーティングテーブルに登録することは現実的ではない場合があります。登録できたとしても、ルータに多大な負荷がかかり、処理性能が低いルータでは正常に動作できないことも考えられます。そして、膨大な数のルート情報をルーティングプロトコルで交換すると、ネットワークの帯域幅を消費してしまうことにもなります。
また、リモートネットワークへのルーティングの動作を考えると、膨大な数のルート情報をルーティングテーブルに一つずつ登録してもあまり意味がありません。ルータがルーティングするときには、ネクストホップへ転送すればよいからです。
ルーティングの動作の詳細は、以下の記事をご覧ください。
そこで、 ルーティングテーブルに 一つずつネットワークのルート情報を登録するかわりに、まとめてルート情報を登録するのがルート集約です。
ルート集約の例
次の図のネットワーク構成を考えます。
R1にはリモートネットワークの10.2.0.0/24~10.2.3.0/24の4つのルート情報をルーティングテーブルに登録しています。リモートネットワークへパケットをルーティングするときには、ネクストホップへ転送します。この図では、4つのリモートネットワークへルーティングするときのネクストホップはすべて10.0.0.2で共通です。10.2.0.0/24へルーティングするときも、10.2.1.0/24へルーティングするときも、10.2.2.0/24へルーティングするときも、10.2.3.0/24へルーティングするときも、結局はネクストホップの10.0.0.2へパケットを転送します。すると、4つのリモートネットワークのルート情報を一つずつルーティングテーブルに登録することにはあまり意味がありません。
そこで、ルート集約を考えます。ネクストホップが共通しているリモートネットワークのルート情報を1つにまとめます。先ほどの構成例で考えると、4つのリモートネットワークのルート情報を集約して、10.2.0.0/16でネクストホップ10.0.0.2というルート情報にまとめます。R1は、この10.2.0.0/16のルート情報で送信先IPが10.2.0.0/24~10.2.3.0/24あてのパケットをネクストホップ10.0.0.2へ転送することができます。
なお、10.2.0.0/16というルート情報は、10.2.0.0/24~10.2.255.0/24の256個のルート情報を1つにまとめていることになります。
ネットワークアドレスをどのように集約するかについての詳細は、以下の記事をご覧ください。
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