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イーサネットとは
イーサネットは、OSI参照モデルでは物理層~データリンク層の規格(プロトコル)です。データリンク層のプロトコルなので、イーサネットは同一ネットワーク内のデータの転送を行うのが主要な役割です。
もっと具体的に言うと、イーサネットの役割は、同一ネットワーク内のあるイーサネットインタフェースから別のイーサネットインタフェースへと物理的にデータを転送するということです。PC/スマートフォン/サーバなどの内部では、データは「0」「1」のビットからなるデジタルデータです。「0」「1」のデジタルデータをそのままネットワークに送り出すことはできません。電気信号や光信号、電波といった物理的な信号に変換しなければいけません。「物理的に転送する」とは、「0」「1」のデジタルデータを物理的な信号に変換して送り届けることです。
イーサネットのインタフェースからデータを送り出すには、「0」「1」のビットを電気信号などの物理信号に変換します。送り出された物理信号は伝送媒体を伝わっていきます。そして、宛先となるイーサネットインタフェースで受信した物理信号を「0」「1」に戻します。
イーサネットは、「単に同じネットワークの中でのデータを物理的な信号に変換して伝えている」に過ぎないということは、ネットワークの仕組みを知る上でぜひ知っておいていただきたいポイントです。
イーサネットのデータの転送についての概要を表しているのが以下の図です。
図中の同じレイヤ2スイッチに接続されている2台のPCは同一ネットワークに接続されていることになります。PC1のイーサネットインタフェースからPC2のイーサネットインタフェースまで、データを物理的な信号に変換して伝えていくことがイーサネットによるデータの転送です。このとき、レイヤ2スイッチのイーサネットインタフェースは特に意識する必要はありません。レイヤ2スイッチは、転送するデータにはいっさい変更を加えないからです。
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イーサネットのネットワークを構築するレイヤ2スイッチについて、以下の記事も合わせてご覧ください。
イーサネットの規格で決めていること
こうした同一ネットワーク内のイーサネットインタフェース間のデータの転送を行うために以下のような決まりごとがイーサネットの規格として定められています。
- 物理層レベル
- 利用するインタフェースの形状
- 利用するケーブル
- 「0」「1」のデジタルデータと物理信号の変換方式
- データリンク層レベル
- イーサネットインタフェースの特定(MACアドレス)
- 伝送媒体(ケーブル)のアクセス制御(CSMA/CD)
- データのフォーマット(フレームフォーマット)
イーサネットには、通信速度や利用するケーブル、インタフェースの形状などに応じて100BASE-TX、1000BASE-Tなどさまざまな規格があります。イーサネットの規格の種類は、物理層レベルの決まりごとに大きく関わっています。イーサネットには、いろんな伝送速度の規格がありますが、伝送速度は物理層レベルの仕様から決まります。
そして、データリンク層レベルの決まり事として、データを転送する際のイーサネットインタフェースを特定するためのMACアドレスがあります。また、イーサネットのデータのフォーマット、すなわちフレームフォーマットも定められています。さらに、伝送媒体(LANケーブル)にデータをどのようなタイミングで送信するかというアクセス制御の方式も定められています。イーサネットでは、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)と呼ばれるアクセス制御方式を採用しています。
初期のイーサネットのネットワーク構成は1本の伝送媒体を複数のホストで共有して利用しています。1本の伝送媒体を共有しているようなネットワーク構成は、バス型と呼ばれます。バス型はネットワーク構成図でよく見かけますが、現在の実質的な構成はバス型ではありません。
初期のバス型のネットワーク構成は、1本の伝送媒体を複数で共有して利用するために、CSMA/CDの制御が必要です。しかし、現在は伝送媒体を専有して使えるのでCSMA/CDの制御を考慮する必要はなくなっています。
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主なイーサネット規格について、以下の記事にまとめています。
イーサネットインタフェースを特定するためのMACアドレスの詳細は、以下の記事をご覧ください。
イーサネットのフレームフォーマットの詳細は以下の記事をご覧ください。
CSMA/CDの詳細は以下の記事をご覧ください。
バス型のトポロジについて、以下の記事をご覧ください。