IPルーティング 再び その4

ルート集約

ルート集約とは、複数のネットワークアドレスを1つのネットワークアドレス
をまとめることを意味します。ルート集約を行うことによって、

・ルーティングプロトコルのトラフィックを削減する

・ルータのルーティングテーブルのサイズを小さくする

ことができます。

ルート集約の例として、次のネットワークを考えましょう。R2の配下に
192.168.1.0/24~192.168.7.0/24までの7つのネットワークがあるとします。
このときR1にはリモートネットワークへのルート情報をそのまま登録すること
もできますが、ネクストホップはすべて共通でR2です。すると、わざわざ7つ
ものルート情報をルーティングテーブルに登録する必要はありません。ネクス
トホップが共通のルート情報をひとつにまとめて集約することで、ルーティン
グテーブルのサイズを小さくすることができます。


図 ルート集約の例

集約ルートの生成は、まとめたい複数のネットワークアドレスの共通部分を判
断します。図の例でいえば、2バイト目までは共通であることは明らかなので、
3バイト目に注目してビットに変換しています。すると、3バイト目の上位5ビ
ットが共通していることがわかるので、その部分までサブネットマスクを左に
ずらします。その結果、192.168.1.0/24~192.168.7.0/24は192.168.0.0/21に
集約されることになります。

一般にサブネットマスクを左にnビットずらすことによって、2^n個のネットワ
ークアドレスを1つの集約ルートに集約できます。例では、3ビット左にずらし
ているので正確には、192.168.0.0/24~192.168.7.0/24の8つのネットワーク
アドレスを1つの集約ルートに集約しています。

ここで「4ビットずらしてはいけないのか」あるいは「10ビットずらしてはい
けないのか」という疑問を持つかもしれません。どちらも可能です。
集約するときにサブネットマスクをずらすビット数は、いくつのネットワーク
アドレスを集約したいのかによって決めればいいです。4ビットずらすと
192.168.0.0/24~192.168.15.0/24の15個のネットワークアドレスを1つに集約
して192.168.0.0/20という集約ルートを生成することになります。

そして、どんどんサブネットマスクを左にずらしていった究極の集約ルートが
あります。それがデフォルトルートです。デフォルトルートは「0.0.0.0/0」
で表現される特殊なルート情報で、あらゆるネットワークを集約したルート情
報、つまり、すべてのネットワークを表します。