Table of Contents
OSPFでのデフォルトルートの生成方法
OSPFでもRIPやEIGRPなどのルーティングプロトコルのようにデフォルトルートを生成することができます。次の図のように、インターネットあてのパケットをルーティングするために、デフォルトルートを利用することが多いです。

インターネットへのルーティング以外にも、スタブエリアから外部ネットワークへの到達性を確保するためにもデフォルトルートの生成を行います。OSPFでデフォルトルートを生成するには、次のような方法があります。
- default-information originateコマンド
- スタブエリアにする
以降で、OSPFでのデフォルトルート生成方法について解説します。
default-information originateコマンドによるデフォルトルートの生成
RIPやEIGRPでは、デフォルトルートをスタティックルートとして設定して、再配送することでデフォルトルートの生成できます。しかし、OSPFではこの方法ではデフォルトルートを生成できません。スタティックルートをOSPFに再配送しても、デフォルトルートは再配送の対象外です。OSPFでデフォルトルートを生成するためには、default-information originateコマンドを使います。コマンド構文は次の通りです。
(config)#router ospf <process>
(config-router)#default-information originate [always] [metric <metric>] [metric-type {1|2}]
default-information originateコマンドによって、ルータはLSAタイプ5でデフォルトルートを生成します。また、メトリックタイプは2でメトリックは1です。メトリックの値やメトリックタイプはオプションの指定によって変更できます。
ただし、デフォルトルートの生成には条件があります。それは、ルーティングテーブルにすでにデフォルトルートが存在していることです。ルーティングテーブルにデフォルトルートが存在していない状態でもOSPFのデフォルトルートを生成するためには、alwaysのオプションを付加します。
- LSAタイプ5で0.0.0.0/0を生成して、他のOSPFルータへアドバタイズされる
- すでにルーティングテーブルにデフォルトルートが存在していることが条件
default-information originateの例
以下のネットワーク構成でdefault-information originateの設定を確認します。

このネットワーク構成のR2で次のように設定を行い、デフォルトルートを生成します。
R2 デフォルトルートの生成
router ospf 1 router-id 2.2.2.2 log-adjacency-changes network 192.168.0.2 0.0.0.0 area 0 network 192.168.12.0 0.0.0.255 area 0 default-information originate ! ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.23.3
デフォルトルートをスタティックで登録した上で、default-information originateコマンドによって、R2はデフォルトルートを表すLSAタイプ5を生成します。R2のLSAタイプ5を確認すると、次のようになります。
R2 show ip ospf database external
R2#show ip ospf database external OSPF Router with ID (2.2.2.2) (Process ID 1) Type-5 AS External Link States LS age: 88 Options: (No TOS-capability, DC) LS Type: AS External Link Link State ID: 0.0.0.0 (External Network Number ) Advertising Router: 2.2.2.2 LS Seq Number: 80000002 Checksum: 0xFCAC Length: 36 Network Mask: /0 Metric Type: 2 (Larger than any link state path) TOS: 0 Metric: 1 Forward Address: 0.0.0.0 External Route Tag: 1
そして、R1のルーティングテーブルにはR2をネクストホップとするデフォルトルートが表れます。外部ルートでメトリックタイプ2なので「O E2」のコードが付けられます。
R1 show ip route
R1#show ip route ~省略~ Gateway of last resort is 192.168.12.2 to network 0.0.0.0 192.168.12.0/30 is subnetted, 1 subnets C 192.168.12.0 is directly connected, Serial1/0 192.168.0.0/32 is subnetted, 2 subnets C 192.168.0.1 is directly connected, Loopback0 O 192.168.0.2 [110/65] via 192.168.12.2, 00:03:56, Serial1/0 O*E2 0.0.0.0/0 [110/1] via 192.168.12.2, 00:03:56, Serial1/0

スタブエリアによるデフォルトルートの生成
スタブエリアのABRはデフォルトルートを生成します。また、トータリースタブエリア、トータリーNSSAのABRも自動的にデフォルトルートを生成します。スタブ、トータリースタブ、トータリーNSSAにおいてABRが生成するデフォルトルートはLSAタイプ3です。
NSSAのABRは、デフォルトルートを自動的に生成しないので要注意です。NSSAでデフォルトルートを生成するためにはarea nssa default-information originateコマンドを明示的に設定しなければいけません。そして、この場合、デフォルトルートはLSAタイプ7で生成されることになります。
次の図は、スタブエリアにおけるデフォルトルートの生成を表したものです。

スタブエリアでのデフォルトルートの生成について、以下の記事で解説しています。
関連記事
「ネットワークのおべんきょしませんか?」内の記事を検索
OSPFの仕組み
- OSPFの概要
- OSPFの処理の流れ
- OSPFルータID ~OSPFルータを識別~
- OSPFネットワークタイプ
- OSPFの基本的な設定と確認コマンド
- OSPF Hello/Deadインターバルの設定と確認コマンド
- OSPFコストの設定と確認
- OSPFルータプライオリティの設定と確認コマンド
- OSPFネイバー認証の設定 ~正規のルータとのみネイバーになる~
- バーチャルリンク上のネイバー認証
- OSPFデフォルトルートの生成 ~default-information originate~
- OSPFデフォルトルートの生成 ~スタブエリア~
- OSPFのルート集約と設定
- OSPFルート集約の設定例(Cisco)
- OSPF ルート種類による優先順位
- OSPFパケットの種類とOSPFヘッダフォーマット
- OSPF Helloパケット
- OSPF不連続バックボーンのVirtual-link設定
- OSPF 再配送ルートの制限 ~redistribute maximum-prefixコマンド~
- OSPFでのディストリビュートリスト/プレフィクスリストの動作
- OSPFでのディストリビュートリストの設定例 Part1
- OSPFでのディストリビュートリストの設定例 Part2
- OSPFのLSAフィルタの概要 ~LSAタイプ3/タイプ5をフィルタ~
- LSAタイプ3のフィルタ設定例
- LSAタイプ5のフィルタ設定例
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part1
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part2
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part3
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part4
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part5
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part6
- OSPFv3の設定例
- OSPFv3 ルート集約の設定例(Cisco)