目次
IPアドレスの設定
CiscoルータのインタフェースにIPアドレスを設定するには、該当のインタフェースのコンフィグレーションモードで以下のコマンドを利用します。
(config)#interface <interface-name>
(config-if)#ip address <ip-address> <subnetmask> [secondary]
<interface-name> : IPアドレスを設定するインタフェース名
<ip-address> : IPアドレス
<subnetmask> : サブネットマスク
このコマンドでインタフェースにIPアドレスを設定すると、そのインタフェースはネットワークを接続していることになります。なお、ルータのインタフェースはデフォルトでshutdownされているので、no shutdownも忘れないようにしてください。
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IPアドレスを設定することの意味についてもきちんと理解しておきましょう。
CiscoルータのインタフェースにDHCPでIPアドレスを設定することもできます。
セカンダリIPアドレス
また、通常、インタフェースにはIPアドレスを1つのみ設定します。ですが、secondaryのオプションを付けることによって、1つのインタフェースに複数のIPアドレスを設定することもできます。通常の設定のIPアドレスはプライマリIPアドレスと呼びます。secondaryオプションによって設定された2つ目以降のIPアドレスをセカンダリIPアドレスと呼びます。
セカンダリIPアドレスを利用したパケットの送受信の動作は次のようになります。
- パケットの受信:宛先IPアドレスが設定したIPアドレスとなっているパケットをすべて受信します。
- パケットの送信:インタフェースから送信するパケットの送信元IPアドレスはプライマリIPアドレスです。
以下の図は、セカンダリIPアドレスを設定しているときのパケットの送受信についてまとめています。

ip unnumbered ~IPアドレスの使い回し~
ルータは複数のインタフェースを持ち、インタフェースにIPアドレスを設定することで複数のネットワークを相互接続して、IPパケットを送受信できるようになります。IPの通信を行うためには、インタフェースに必ずIPアドレスが必要です。
IPアドレスは原則として、インタフェースごとにユニークにしなければいけません。ただ、主に専用線などのポイントツーポイント(1対1)のインタフェースで例外的に他のインタフェースのIPアドレスと重複させることができます。そのために、ip unnumberedの設定を行います。
ip unnumberedの設定によって、他のインタフェースのIPアドレスを使いまわして、IPアドレスを節約できます。ip unnumberedの設定は以下のコマンドを利用します。
(config)#interface <interface-name1>
(config-if)#ip unnumbered <interface-name2>
<interface-name1> : ip unnumberedで設定するインタフェース名
<interface-name2> : 使いまわしたいIPアドレスを持つインタフェース名
次の図は、ip unnumberedの設定の例です。

R1とR2はポイントツーポイントインタフェースのSe0/0で接続されています。R1のSe0/0に個別のIPアドレスを設定する代わりに、Fa0/0のIPアドレスである192.168.1.1を使いまわすために、Se0/0で以下の設定を行っています。
R1
interface serial 0/0 ip unnumbered FastEthernet0/0
すると、Se0/0のIPアドレスもFa0/0と同じ192.168.1.1となります。R1のSe0/0からIPパケットを送信するときには、Fa0/0のIPアドレスである192.168.1.1が送信元IPアドレスとなります。show ip interface briefおよびshow ip interfaceでは、以下のように表示されます。
R1#show ip interface brief Interface IP-Address OK? Method Status Protocol FastEthernet0/0 192.168.12.1 YES NVRAM up up Serial0/0 192.168.12.1 YES TFTP up up R1#show ip interface serial 0/0 Serial0/0 is up, line protocol is up Interface is unnumbered. Using address of FastEthernet0/0 (192.168.12.1) Broadcast address is 255.255.255.255 Peer address is 192.168.12.2 ~省略~
なお、ip unnumberedの設定自体はイーサネットなどのポイントツーポイントインタフェース以外でも指定可能です。ただし、その場合、アドレス解決が正常にできずに通信ができなくなる可能性があります。
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