DHCPクライアントにもなれる

CiscoルータはDHCPサーバとして、PCなどにIPアドレスを自動的に割り当てるだけではなく、DHCPクライアントとして設定することもできます。たとえば、インターネット接続サービスで、ISPからDHCPでIPアドレスを割り当てられる場合、CiscoルータをDHCPクライアントとして設定します。

図 CiscoルータをDHCPクライアントにする例
図 CiscoルータをDHCPクライアントにする例

DHCPクライアントの設定

CiscoルータをDHCPクライアントとして、インタフェースのIPアドレス/サブネットマスクを自動的に割り当てるには、インタフェースコンフィグレーションモードで次のコマンドを利用します。

IPアドレス設定 DHCPクライアント

(config)#interface <interface-name>
(config-if)#ip address dhcp

<interface-name> : DHCPクライアントにするインタフェース名

また、インターネットに接続するルータにはデフォルトルートの設定も必要です。たいていは、スタティックルートでデフォルトルートを設定します。

DHCPで取得したデフォルトゲートウェイのIPアドレスをデフォルトルートのネクストホップとして利用するために、以下の設定を行います。

DHCPのデフォルトゲートウェイをネクストホップにするデフォルトルート

(config)#ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 dhcp

クライアントID

DHCPクライアントを識別するためにクライアントIDがあります。ip address dhcpコマンドのデフォルトのクライアントIDは、次のような文字列です。

“cisco-<MAC-address>-<interface-name>”

クライアントIDをインタフェースのMACアドレスにするためには、ip address dhcpコマンドにclient-idオプションを追加します。

IPアドレス設定 DHCPクライアント クライアントIDの変更

(config)#interface <interface-name>
(config-if)#ip address dhcp client-id <interface-name>

<interface-name> : DHCPクライアントにするインタフェース名

client-idオプションによって、クライアントIDはインタフェースのMACアドレスになります。文字列ではなく、16進数です。

<MAC-address>

release/renew

DHCPで割り当てられたIPアドレス/サブネットマスクを解放するには、特権EXECモードで次のコマンドを入力します。

DHCP Release

#release dhcp <interface-name>

<interface-name> : DHCPクライアントとして設定しているインタフェース名

また、DHCPで再取得したい場合は、特権EXECモードで次のコマンドを利用します。

DHCP Renew

#renew dhcp <interface-name>

<interface-name> : DHCPクライアントとして設定しているインタフェース名

DHCPクライアントの確認

DHCPクライアントとして、IPアドレスなどの割り当てを確認するには、以下のコマンドを利用します。

コマンド概要
#show ip interfaceインタフェースのレイヤ3レベルの詳細情報を確認します。
#show dchp leaseDHCPで割り当てられている情報を確認します。
表 DHCPクライアントの確認コマンド

DHCPクライアントの設定例

以下の図のR1をDHCPクライアントとして設定します。

図 DHCPクライアントの設定例
図 DHCPクライアントの設定例

  • R1 Fa0/0のIPアドレス/サブネットマスクをDHCPで取得します。
  • R1でスタティックルートとしてデフォルトルートを設定します。

R1の設定

R1のFa0/0をDHCPクライアントとするためにip address dhcpコマンドを利用します。また、スタティックルートの設定でデフォルトルート「0.0.0.0 0.0.0.0」に対するネクストホップとしてdhcpを指定します。

R1 DHCPクライアントの設定

interface FastEthernet0/0
 ip address dhcp
!
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 dhcp

R1の確認

show ip interface fa0/0を見ると、DHCPでIPアドレスとサブネットマスクが割り当てられていることがわかります。

R1 DHCPクライアントの確認 show ip interface

R1#show ip interface FastEthernet 0/0
FastEthernet0/0 is up, line protocol is up
  Internet address is 10.0.0.2/24
  Broadcast address is 255.255.255.255
  Address determined by DHCP
  MTU is 1500 bytes
  Helper address is not set
-- omitted --

show dhcp leaseコマンドで、DHCPサーバから割り当てられているTCP/IPの設定情報がわかります。

R1 DHCPクライアントの確認 show dhcp lease

R1#show dhcp lease
Temp IP addr: 10.0.0.2  for peer on Interface: FastEthernet0/0
Temp  sub net mask: 255.255.255.0
   DHCP Lease server: 10.0.0.100, state: 3 Bound
   DHCP transaction id: 16EB
   Lease: 86400 secs,  Renewal: 43200 secs,  Rebind: 75600 secs
Temp default-gateway addr: 10.0.0.100
   Next timer fires after: 11:53:45
   Retry count: 0   Client-ID: cisco-cc01.20f4.0000-Fa0/0
   Client-ID hex dump: 636973636F2D636330312E323066342E
                       303030302D4661302F30
   Hostname: R1

また、R1のルーティングテーブルには、DHCPで取得したデフォルトゲートウェイをネクストホップとするデフォルトルートが登録されます。

R1 DHCPクライアントの確認 show ip route

R1#show ip route
-- omitted --

Gateway of last resort is 10.0.0.100 to network 0.0.0.0

     10.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets
C       10.0.0.0 is directly connected, FastEthernet0/0
C    192.168.1.0/24 is directly connected, FastEthernet1/0
S*   0.0.0.0/0 [1/0] via 10.0.0.100