メインはユニキャストIPアドレス

PCやサーバなどTCP/IPの通信を行うホストに設定するIPアドレスは、ユニキャストIPアドレスです。TCP/IPの通信の大部分はユニキャスト通信です。そのため、ユニキャストIPアドレスをしっかりと理解することが重要です。単に「IPアドレス」と表記しているときは、ユニキャストIPアドレスだと考えてください。

2つの部分から構成

IPアドレスは、ネットワーク部とホスト部という2つの部分から構成されています。社内ネットワークやインターネットなどは、複数のネットワークがルータまたはレイヤ3スイッチで相互接続されています。IPアドレスのネットワーク部でネットワークを識別し、ホスト部でネットワーク内のホスト(のインタフェース)を識別します。

「ネットワーク部」は「ネットワークアドレス」、「ホスト部」は「ホストアドレス」と表現することもよくあります。

以下の図は、ネットワーク部とホスト部についてまとめています。前半のネットワーク部で「いったいどこのネットワークなのか?」がわかるようにしています。そして、ホスト部によって「そのネットワーク内のどのホストか」がわかります。

図 IPアドレスの構成

ネットワークアドレスとブロードキャストアドレス

IPアドレスのホスト部に注目して、以下の特別なIPアドレスがあります。

  • ネットワークアドレス-ホスト部のビットがすべて「0」
  • ブロードキャストアドレス-ホスト部のビットがすべて「1」

これらは、ユニキャストIPアドレスではありません。そのため、PCやサーバなどにネットワークアドレスやブロードキャストアドレスを設定することはできません。

ホスト部のビットがすべて「0」はネットワークアドレスで、ネットワークそのものを識別するためのアドレスです。同じネットワーク上のホストには、共通のネットワーク部のIPアドレスを設定していることになります。そして、ホスト部のビットがすべて「1」はブロードキャストアドレスです。同じネットワーク上のすべてのホストにデータを送信するブロードキャストの通信を行うときに宛先IPアドレスとして指定するアドレスです。ホスト部のビットがすべて「1」のブロードキャストアドレスをディレクテッドブロードキャストアドレスと呼びます。なお、ブロードキャストアドレスとして、32ビットすべて「1」である255.255.255.255を利用することもできます。すべてビット「1」のブロードキャストアドレスは、リミテッドブロードキャストアドレスと呼びます。

ディレクテッドブロードキャストアドレスとリミテッドブロードキャストアドレスの違いを覚えておくような必要は特にありません。

図 ネットワークアドレスとブロードキャストアドレス

区切りはどこ?

IPアドレスでわかりにくいところが、ネットワーク部とホスト部の区切りが一定ではないということです。ネットワーク部とホスト部の区切りがどこにあるかがIPアドレスを理解するポイントです。

ネットワーク部とホスト部の区切りをどう考えるかで、IPアドレスは次の2つに分類できます。

  • クラスフルアドレス
  • クラスレスアドレス

2つ挙げていますが、今ではクラスレスアドレスです。ただし、クラスレスアドレスはクラスフルアドレスに基づいているので、クラスフルアドレスの理解も必要です。

関連記事

クラスフルアドレスとクラスレスアドレスについて、以下の記事をご覧ください。

まとめ

ポイント

  • 最も基本的なIPアドレスはユニキャストIPアドレスです。PCやサーバ、スマートフォン、ルータなどに設定するIPアドレスはユニキャストアドレスです。
  • IPアドレスはネットワーク部とホスト部から構成されています。
  • ホスト部に注目して、以下の特別なIPアドレスアドレスがあります。
    • ホスト部のビットすべて「0」 : ネットワークアドレス
    • ホスト部のビットすべて「1」 : ブロードキャストアドレス
  • IPアドレスのネットワーク部とホスト部の区切りは可変です。区切りの考え方について、次の2つに分類できます。
    • クラスフルアドレス
    • クラスレスアドレス