概要

BGPではルート集約をした際に、集約ルートだけではなく、集約前の個別のルートもアドバタイズします。選択型集約(Selective Aggregation)によって、集約ルートと一緒にアドバタイズする集約前のルートを制御できます。

BGPの選択型集約について解説します。

選択型集約(Selective Aggregation)とは

aggregate-addressコマンドでBGPルートを集約した場合、オプションを何も指定しなければ集約ルートと集約前のルートを「すべて」アドバタイズします。aggregate-addressコマンドにsummary-onlyのオプションをつけて設定すれば集約前のルートはまったくアドバタイズされなくなります。つまり、集約前ルートについて、普通の集約の設定は全部送る、summary-onlyはまったく送らないというAll or Nothingです。

選択型集約とは、集約前ルートをこのようにAll or Nothingで扱うのではなく、集約ルートと一緒にアドバタイズしたい集約前ルートを柔軟に制御することを意味します。選択型集約によって、集約前ルートのうちの一部だけを集約ルートと一緒にアドバタイズできます。

図 BGP選択型集約の概要
図 BGP選択型集約の概要

選択型集約の方法

選択型集約の設定には次の2つの種類があります。

  • suppress-map
  • unsuppress-map

この2つが非常に紛らわしいので注意が必要です。まず、集約前ルートをアドバタイズするネイバーの範囲が違います。suppress-mapで選択型集約を行う場合はすべてのネイバーへ集約前ルートをアドバタイズします。一方、unsuppress-mapで選択型集約を行うと特定のネイバーに対してのみ集約前ルートをアドバタイズします。

アドバタイズしたい集約前ルートの指定方法も違っています。どちらの場合も後ろにルートマップをつけます。ただし、suppress-mapの場合はルートマップの中でdenyされた集約前ルートをアドバタイズします。unsuppress-mapの場合は逆で、ルートマップの中でpermitされた集約前ルートをアドバタイズします。この点が特に紛らわしいので要注意です。

suppress-mapunsuppress-map
対象のネイバーすべてのネイバー特定のネイバー
アドバタイズしたい集約前ルートの指定ルートマップでdenyルートマップでpermit
表 suppress-mapとunsuppress-map

まとめ

ポイント

  • 選択型集約(Selective Aggregation)によって、集約ルートと一緒にアドバタイズする集約前のルートを制御できます。
  • 選択型集約の設定には次の2通りあります。
    • suppress-map
    • unsuppress-map

BGPの仕組み