概要

BGPの自動集約について解説します。RIP/EIGRPでの自動集約とは異なっています。

BGPの自動集約とは

BGPでは、自動集約をサポートしています。ただし、RIP/EIGRPといったディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルの自動集約とは意味が違っています。BGPの自動集約が有効になっていれば、BGPに再配送されたルートは自動的にクラス境界で集約されます。

BGP自動集約の動作

以下の図は、OSPFで学習したルートをBGPへ再配送しています。自動集約が有効であればOSPFからBGPへ再配送されたルートは自動的にクラス境界で集約されて、ネイバーにアドバタイズされます。

図 BGP自動集約
図 BGP自動集約

自動集約はBGPに再配送されたルートに対してのみ行われることに注意してください。networkコマンドで生成したルートに対して自動集約は行われません。また、自動集約は再配送されてBGPテーブルに載せられるときに行われています。上の図では、自動集約によってBGPテーブルに172.16.0.0が載せられることになります。

このような自動集約があるものの、デフォルトで無効化されています。BGPでの集約は任意の境界で集約ができる手動集約を行うのが普通です。

BGP 自動集約の具体例

ネットワーク構成

以下のネットワーク構成でBGPの自動集約を確認します。

BGP 自動集約の設定と確認

AS100内はOSPFでルーティングしています。OSPFで学習した100.100.1.0/24、100.100.2.0/24、100.100.3.0/24をBGPに再配送し、そのときに自動集約を行います。R1では、次のように設定します。

R1 BGP自動集約の設定

access-list 10 permit 100.100.0.0 0.0.255.255
!
route-map AUTO-SUMMARY permit 10
 match ip address 10
!
router bgp 100
 redistribute ospf 1 route-map AUTO-SUMMARY
 auto-summary

すると、R1のBGPテーブルは次のようになります。

R1 show ip bgp

R1#show ip bgp
BGP table version is 15, local router ID is 1.1.1.1
Status codes: s suppressed, d damped, h history, * valid, > best, i - internal,
              r RIB-failure, S Stale
Origin codes: i - IGP, e - EGP, ? - incomplete

   Network          Next Hop            Metric LocPrf Weight Path
*> 100.0.0.0        0.0.0.0                  0         32768 ?
*> 100.1.1.0/24     172.16.1.11              0             0 1 i
*> 100.1.2.0/24     172.16.1.11              0             0 1 i
*> 100.1.3.0/24     172.16.1.11              0             0 1 i

BGPテーブルをみると、OSPFから再配送された100.100.1.0/24、100.100.2.0/24、100.100.3.0/24の3つのルートが100.0.0.0/8に自動集約されていることがわかります。

図 BGP自動集約の設定
図 BGP自動集約の設定

なお、R1で自動集約を無効化すると、次のようになります。

R1 自動集約の無効化

R1(config)#router bgp 100
R1(config-router)#no auto-summary
R1(config-router)#end
R1#show ip bgp
BGP table version is 19, local router ID is 1.1.1.1
Status codes: s suppressed, d damped, h history, * valid, > best, i - internal,
              r RIB-failure, S Stale
Origin codes: i - IGP, e - EGP, ? - incomplete

   Network          Next Hop            Metric LocPrf Weight Path
*> 100.1.1.0/24     172.16.1.11              0             0 1 i
*> 100.1.2.0/24     172.16.1.11              0             0 1 i
*> 100.1.3.0/24     172.16.1.11              0             0 1 i
*> 100.100.1.0/24   192.168.13.3             2         32768 ?
*> 100.100.2.0/24   192.168.13.3             2         32768 ?
*> 100.100.3.0/24   192.168.13.3             2         32768 ?

自動集約が無効化されている場合は、OSPFのルートがそのままBGPテーブルに載せられていることがわかります。

まとめ

ポイント

  • BGPの自動集約は、BGPに再配送されたルートが対象です。BGPテーブルには、クラス境界で集約したルートが登録されます。
  • 現在のIOSでは、BGPの自動集約は無効化されています。

BGPの仕組み