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aggregate-addressのオプション attribute-map
CiscoルータでBGPルートを集約するaggregate-addressコマンドにはたくさんのオプションがあります。オプションは、以下の2つに分類できます。
- 集約前のルートをどう扱うか
- 集約ルートのアトリビュートをどうするか
attribute-mapは、「集約ルートのアトリビュートをどうするか」についてのオプションです。attribute-mapによって集約ルートにアトリビュートを付加することができます。
サンプルトポロジと事前設定
次のサンプルトポロジのR1でaggregate-addressのattribute-mapオプションの動作について考えます。

aggregate-addressを設定する前のR1およびR2のBGPに関する設定は次のとおりです。
R1
interface Loopback0 ip address 100.1.2.1 255.255.255.0 secondary ip address 100.1.3.1 255.255.255.0 secondary ip address 100.1.4.1 255.255.255.0 secondary ip address 100.1.1.1 255.255.255.0 ! router bgp 1 network 100.1.1.0 mask 255.255.255.0 network 100.1.2.0 mask 255.255.255.0 network 100.1.3.0 mask 255.255.255.0 network 100.1.4.0 mask 255.255.255.0 neighbor 12.12.12.2 remote-as 2 neighbor 12.12.12.2 send-community ip bgp-community new-format
R1では、R2とEBGPネイバーを確立して100.1.1.0/24~100.1.4.0/24のルートをnetworkコマンドでアドバタイズしています。
R2
router bgp 2 neighbor 12.12.12.1 remote-as 1 neighbor 12.12.12.1 send-community ip bgp-community new-format
R2は、単純にR1とのEBGPネイバーを設定しているだけです。
また、COMMUNITYアトリビュートを扱うので、R1とR2に以下のコマンドの設定も行っています。
- neighbor send-community
- ip bgp-community new-format
neighbor send-communityコマンドで、BGPルートに付加されているCOMMUNITYアトリビュートを削除しないようにしています。ip bgp-community new-formatコマンドは、COMMUNITYの表記をわかりやすくするための設定です。
R1で集約ルートのアドバタイズ
R1で100.1.1.0/24~100.1.4.0/24を集約したルート情報100.1.0.0/16を生成します。
R1 集約ルートの生成
router bgp 1 aggregate-address 100.1.0.0 255.255.0.0
この設定により、集約ルート100.1.0.0/16が生成されてBGPテーブルに載り、R2へアドバタイズされます。このときの集約ルート100.1.0.0/16のアトリビュートを確認します。そのためにR1でshow ip bgp 100.1.0.0の結果を見ます。
R1 集約ルートのアトリビュートの確認
R1#sh ip bgp 100.1.0.0 BGP routing table entry for 100.1.0.0/16, version 6 Paths: (1 available, best #1, table Default-IP-Routing-Table) Advertised to non peer-group peers: 12.12.12.2 Local, (aggregated by 1 100.1.1.1) 0.0.0.0 from 0.0.0.0 (100.1.1.1) Origin IGP, localpref 100, weight 32768, valid, aggregated, local, atomic-aggregate, best
集約ルートのアトリビュートは、atomic-aggregateやaggregatorがつけられていますが、それ以外のOriginやLocal_preferenceなどのアトリビュートはnetworkコマンドで生成したルートと同じです。
集約ルートにアトリビュートを付加するには、アドバタイズするときにアウトバウンドでルートマップを適用してもできます。が、attribute-mapを利用すると、集約ルートを生成したときにアトリビュートを付加することができます。
attribute-mapによる集約ルートへのアトリビュート付加
attibute-mapを使って、集約ルートにCOMMUNITYを付加してみましょう。attribute-mapのあとには、ルートマップを指定します。このルートマップはすごくシンプルに考えてください。attribute-mapのあとのルートマップにはmatch条件は要りません。aggregate-addressコマンドで生成した集約ルートが対象になるので、match条件を指定する必要はありません。setコマンドだけで集約ルートに付加したいアトリビュートを設定すればいいだけです。
では、例として集約ルートにCOMMUNITY 1:1000をつけるためのattribute-mapの設定を考えます。まず、COMMUNITYを付加するルートマップ(AGG_COM)を次のように作ります。
R1 アトリビュートマップ用のルートマップの設定
route-map AGG_COM permit 10 set community 1:1000
そして、このルートマップをaggregate-addressのattribute-mapオプションで適用します。
R1 ルートマップを適用
router bgp 1 aggregate-ddress 100.1.0.0 255.255.0.0 attribute-map AGG_COM
これによって、集約ルート100.1.0.0/16にCOMMUNITY 1:1000が付加されます。そのことを確認しましょう。R1のBGPテーブルを確認します。
R1 BGPテーブルの確認
R1#sh ip bgp 100.1.0.0 BGP routing table entry for 100.1.0.0/16, version 7 Paths: (1 available, best #1, table Default-IP-Routing-Table) Advertised to non peer-group peers: 12.12.12.2 Local, (aggregated by 1 100.1.1.1) 0.0.0.0 from 0.0.0.0 (100.1.1.1) Origin IGP, localpref 100, weight 32768, valid, aggregated, local, atomic-aggregate, best Community: 1:1000
BGPテーブルの集約ルート100.1.0.0/16の詳細な情報を確認すると、最後の行でCOMMUNITY 1:1000が付加されていることがわかります。

このルートを受信するR2側でも見てみましょう。
R2 BGPテーブルの確認
R2#sh ip bgp 100.1.0.0 BGP routing table entry for 100.1.0.0/16, version 7 Paths: (1 available, best #1, table Default-IP-Routing-Table) Flag: 0x880 Not advertised to any peer 1, (aggregated by 1 100.1.1.1) 12.12.12.1 from 12.12.12.1 (100.1.1.1) Origin IGP, metric 0, localpref 100, valid, external, atomic-aggregate, best Community: 1:1000
R2でもCOMMUNITY 1:1000が付加されている集約ルート100.1.0.0/16を受信していることが確認できます。
attribute-mapのまとめ
- 「集約ルートのアトリビュートをどうするか」のオプション
- 集約ルートにアトリビュートを付加するために利用する
- attribute-mapのあとにルートマップを指定する
- ルートマップはmatch条件なしで付加したいアトリビュートをsetで設定する
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