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全二重通信と半二重通信
全二重通信(Full Duplex)とは、データの送信と受信を同時に行うことができる通信方式です。データの送受信は、最終的には物理的な信号のやり取りです。そのため、全二重通信を行うには、データの送信用の物理信号を流す回線とデータ受信用の物理信号を流す回線が必要となります。一方、データの送信と受信を切り替えながら行う通信方式を半二重通信(Half Duplex)と呼んでいます。半二重通信は1つの回線を共有し、送信と受信で切り替えながら利用します。
初期のイーサネット規格は半二重通信
10BASE5/10BASE2といった初期のイーサネット規格では、1本の伝送媒体(同軸ケーブル)に複数のPCがぶらさがるバス型トポロジです。1本の同軸ケーブルを共有していることになるので、半二重通信です。そして、1本の同軸ケーブルをどのように共有して使い回すかを制御するためにCSMA/CDを利用しています。
CSMA/CDについては、以下の記事をご覧ください。
10BASE-T/100BASE-TXでの全二重通信の仕組み
10BASE-Tおよび100BASE-TXのイーサネット規格で、スイッチとPCを直接UTPケーブルで接続していると、送信用と受信用の回線が分離されています。UTPケーブルは、8本の心線を2本ずつ4組でまとめてRJ-45のイーサネットインタフェースに接続します。RJ-45には8つの端子がありそれぞれの用途が決まっていて、PCのMDIとスイッチのMDI-Xをストレートケーブルで接続すると、下の図のように送信用と受信用の回線を分離していることになります。送信用と受信用の回線が分離されているので、送信も受信も同時に行う全二重通信が可能です。100BASE-TXであれば、送信で100Mbps、受信で100Mbpsの通信ができます。
RJ-45イーサネットインタフェースのMDIとMDI-Xの違いについては、以下の記事をご覧ください。
レイヤ2スイッチの仕組み
- レイヤ2スイッチの概要 ~ひとつのネットワークを作る~
- レイヤ2スイッチの動作 ~MACアドレスに基づいて転送~
- 演習:レイヤ2スイッチの動作[Cisco]
- コリジョンドメインとブロードキャストドメイン
- レイヤ2スイッチの転送方式
- 全二重通信 ~送信も受信も同時に~
- オートネゴシエーション ~両端のポートの一番いい速度/モードにする~
- Cisco 全二重/半二重の不一致(duplex mismatch)
- ポートセキュリティ ~つながっているPCは正規のPCですか?~
- Cisco ポートセキュリティの設定
- Ciscoポートセキュリティの設定例
- SPAN ~ネットワークのモニタリング~
- スパニングツリーの概要 ~イーサネットフレームの転送経路を冗長化~
- BPDU ~スパニングツリーの制御情報~
- スパニングツリーの仕組み ~ルートブリッジを中心とした転送経路を決める~
- スパニングツリー ポートIDでルートポートが決まるとき
- スパニングツリーのポートの状態 ~ブロッキング/リスニング/ラーニング/フォワーディング~
- TCN BPDUによるトポロジ変更通知
- PVST ~VLANごとにスパニングツリーを考える~
- スパニングツリー(PVST)の設定と確認
- PortFast ~すぐにフォワーディング状態にする~
- スパニングツリーの設定例
- RSTP ~高速なスパニングツリー~
- RSTPの設定例
- ルートガード
- BPDUガード/BPDUフィルタ
- PoE ~UTPケーブルで電源供給~
- イーサチャネルの概要 ~複数のイーサネットリンクをまとめる~
- イーサチャネルの負荷分散 ~単純に帯域幅が増えるわけではない~
- L2イーサチャネルの設定 ~スイッチポートをまとめる~
- L3イーサチャネル ~ルーテッドポートをまとめる~
- イーサチャネルの設定例 L3イーサチャネルとL2イーサチャネルの接続
- LACP/PAgPのshowコマンド
- [Juniper-Cisco相互接続] L2リンクアグリゲーションの設定例
- [Juniper-Cisco相互接続] L3リンクアグリゲーションの設定例
- ストームコントロール