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よく「VLANにIPアドレスを設定する」ってあるけど・・・
レイヤ3スイッチの設定を考えるときに、「VLANにIPアドレスを設定する」という表現をよく見かけます。でも、この表現は間違いです。正しくは「SVIにIPアドレスを設定する」です。
こんな間違った表現がよく使われてしまう原因として、以下のことが考えられます。
- VLANの作成とSVIの作成コマンドがよく似ている
- SVIのインタフェース名が「Vlan<vlan-id>」となるので紛らわしい
VLANの作成とSVIの作成コマンド
「VLANの作成」と「SVIの作成」について、次の表にまとめています。
VLANの作成 | SVIの作成 | |
---|---|---|
意味 | スイッチ内部に仮想スイッチを作成する | スイッチ内部の仮想スイッチと仮想ルータをつなげる |
コマンド | (config)#vlan <vlan-id> | (config)#interface vlan <vlan-id> |
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VLANの作成コマンドの詳細は以下の記事で解説しています。
SVIの作成コマンドの詳細は以下の記事で解説しています。
コマンドとしては、「interface」がついているかついていないかの違いでよく似ています。そしてSVIのインタフェース名は「Vlan<vlan-id>」となっていて、さらに紛らわしいのです。ですが、VLANの作成とSVIの作成はまったく意味が違うので注意してください。
「SVIにIPアドレスを設定する」が正しい表現
冒頭でも述べていますが、「VLANにIPアドレスを設定する」のではなく、「SVIにIPアドレスを設定する」です。
VLANは1つのネットワークです。ネットワーク自体にはIPアドレスを設定しません。ネットワーク自体には、ネットワークを識別するネットワークアドレスを決めるだけです。たとえば、「VLAN10のネットワークは192.168.10.0/24のネットワークアドレスにしよう」と決めます。
IPアドレスを設定するのは、ネットワークに接続するインタフェースに対してです。そのため、VLANではなくて、「SVIにIPアドレスを設定する」のが正しい表現です。192.168.10.0/24のネットワークアドレスのVLAN10と仮想ルータを接続するSVIに、192.168.10.254/24といったIPアドレスを設定します。VLAN10と仮想ルータを接続するSVIは「Vlan10」というインタフェース名になるので紛らわしいので注意してください。繰り返しますが、VLANとSVIは違うものです。
あらためて「VLANにIPアドレスを設定する」という表現はとてもよく見かけますが正しくありません。このページをご覧いただいているみなさんは正しく理解して、正しい表現をしてください。
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