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VTPプルーニングとは
VTPプルーニングとは、トランクリンクへの不要なイーサネットフレームのフラッディングを自動的に止める機能です。VTPプルーニングで不要なフラッディングを抑制できれば、その分、トランクリンクの帯域幅を有効に利用できます。
不要なイーサネットフレームのフラッディングの例
VTPでは、スイッチ間はトランクポートで接続することが前提です。トランクポートはデフォルトですべてのVLANに所属しています。その結果、トランクポートに不要なVLANのイーサネットフレームがフラッディングされ、帯域幅を余計に消費してしまうことがあります。
たとえば、以下の図のネットワーク構成を考えます。SW3にはVLAN10のアクセスポートが存在しません。SW3にVLAN10のイーサネットフレームを転送しても破棄されます。SW3へVLAN10のイーサネットフレームをフラッディングすると、余計な帯域幅の消費が起こってしまっています。
トランクポートの不要なVLANのイーサネットフレームのフラッディングを防止するために、2つの選択肢があります。
- switchport trunk allowed vlanコマンドによって、手動でトランクポートが所属するVLANを限定する
- VTPプルーニングを有効化する
switchport trunk allowed vlanコマンドは、管理者が不要なフラッディングが発生する部分を特定して、手動でコマンドを入力していく必要があるので手間がかかります。一方、VTPプルーニングは有効化しさえすれば、不要なフラッディングを自動的に止めることができます。
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switchport trunk allowed vlanコマンドについて、以下の記事をご覧ください。
VTPプルーニングの動作
VTPプルーニングは、VTPプルーニングメッセージによって、特定のVLANのイーサネットフレームが不要であることを通知します。
先ほどのネットワーク構成であらためて考えます。SW3にはVLAN10のアクセスポートがないので、SW3はVLAN10のイーサネットフレームを受信しても破棄します。VTPプルーニングを有効にしていれば、SW3はVTPプルーニングメッセージを送信して、VLAN10のイーサネットフレームが不要であることを通知します。
その結果、SW2はSW3の方向のFa0/8へVLAN10のイーサネットフレームをフラッディングしないようになります。
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