目次
VLANを削除するときは要注意
VLANは設定で作るものなので、もちろん削除することもできます。VLANを削除するときは、要注意です。削除したVLANに割り当てられているアクセスポートが使えなくなってしまうからです。
アクセスポートは、1つのVLANに割り当てていてそのVLANのイーサネットフレームを転送するためのポートです。割り当てているVLANが削除されてしまったら、存在しないVLANに割り当ててしまうことになります。すると、そのアクセスポートは使えなくなってしまいます。
以下の図で、レイヤ2スイッチにはデフォルトのVLAN1と追加のVLAN2があります。ポートFa0/2はVLAN2に割り当てているアクセスポートです。
![図 VLAN割り当ての例](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2021/11/notes-on-deleting-vlans01.png)
そして、VLAN2を削除したからといって、Fa0/2の割り当ては自動的にVLAN1になるわけではありません。VLAN2を削除しても、Fa0/2をVLAN2に割り当てる設定は残ったままです。つまり、Fa0/2は存在しないVLAN2に割り当てられたままです。すると、Fa0/2は利用不可になってしまいます。
![図 存在しないVLANに割り当てられたポートは使えない](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2021/11/notes-on-deleting-vlans02.png)
VLANを削除したときには、削除したVLANに割り当てているポートの設定もきちんと変更しておきましょう。
存在しないVLANに割り当てている例
Cisco Catalystスイッチで存在しないVLANに割り当ててしまう例を見てみます。先ほどのネットワーク構成で考えます。
![](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2021/11/notes-on-deleting-vlans01-1.png)
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Cisco CatalystスイッチでのVLANの設定や確認コマンドは、以下の記事で詳しく解説しています。
SW1には、以下の設定を行っています。
SW1
vlan 2 ! interface FastEthernet0/1 switchport access vlan 1 ! interface FastEthernet0/2 switchport access vlan 2
show vlan breifコマンドでVLANとアクセスポートの対応は以下のように表示されます。
SW1#show vlan brief VLAN Name Status Ports ---- -------------------------------- --------- ------------------------------- 1 default active Fa0/1, Fa0/3, Fa0/4, Fa0/5 Fa0/6, Fa0/7, Fa0/8, Fa0/9 Fa0/10, Fa0/11, Fa0/12, Fa0/13 Fa0/14, Fa0/15, Fa0/16, Fa0/17 Fa0/18, Fa0/19, Fa0/20, Fa0/21 Fa0/22, Fa0/23, Fa0/24, Gig0/1 Gig0/2 2 VLAN0002 active Fa0/2 1002 fddi-default active 1003 token-ring-default active 1004 fddinet-default active 1005 trnet-default active
また、show interface fa0/2 switchportは次のような表示です。
SW1#show int fa 0/2 switchport Name: Fa0/2 Switchport: Enabled Administrative Mode: static access Operational Mode: static access Administrative Trunking Encapsulation: dot1q Operational Trunking Encapsulation: native Negotiation of Trunking: Off Access Mode VLAN: 2 (VLAN0002) Trunking Native Mode VLAN: 1 (default) Voice VLAN: none ~省略~
VLAN2を削除
ここまで確認した状態からVLAN2を削除します。
SW1
no vlan 2
VLAN2を削除したからといって、Fa0/2をVLAN2に割り当てるswitchport access vlan 2のコマンドは削除されるわけではありません。show running-configを見ると、Fa0/2のswitchport access vlan 2のコマンドは残ったままです。
SW1
SW1#show running-config interface fa0/2 Building configuration... Current configuration : 83 bytes ! interface FastEthernet1/2 switchport access vlan 2 duplex full speed 100 end
VLANとアクセスポートの対応を確認すると、VLAN2が削除されているので、Fa0/2も表示されなくなってしまいます。
SW1
SW1#show vlan brief VLAN Name Status Ports ---- -------------------------------- --------- ------------------------------- 1 default active Fa0/1, Fa0/3, Fa0/4, Fa0/5 Fa0/6, Fa0/7, Fa0/8, Fa0/9 Fa0/10, Fa0/11, Fa0/12, Fa0/13 Fa0/14, Fa0/15, Fa0/16, Fa0/17 Fa0/18, Fa0/19, Fa0/20, Fa0/21 Fa0/22, Fa0/23, Fa0/24, Gig0/1 Gig0/2 1002 fddi-default active 1003 token-ring-default active 1004 fddinet-default active 1005 trnet-default active
そして、show interface Fa0/2 switchportを見ると、存在しないVLANに割り当てられているままであることがよくわかります。
SW1
SW1#show int fa 0/2 switchport Name: Fa0/2 Switchport: Enabled Administrative Mode: static access Operational Mode: static access Administrative Trunking Encapsulation: dot1q Operational Trunking Encapsulation: native Negotiation of Trunking: Off Access Mode VLAN: 2 (Inactive) Trunking Native Mode VLAN: 1 (default) Voice VLAN: none ~省略~
show interfaceコマンドでは、Fa0/2はup/upで正常なように見えてしまうのですが、リンクLEDがオレンジ色になって使うことができなくなっています。
![図 VLANを削除してもポートに割り当てる設定は残ったまま](https://www.n-study.com/wp-content/uploads/2021/11/notes-on-deleting-vlans03.png)
このように、VLANを削除すると削除したVLANに割り当てられたままのポートは使えなくなってしまいます。VLANを削除したら、該当のVLANに割り当てていたポートの設定もきちんと変更してください。
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