ホストでのトランクポートの利用

トランクポートはスイッチ間の接続だけで利用するというわけではありません。PCやサーバなどのホストのイーサネットポート(インタフェース)がIEEE802.1Qに対応していれば、ホストでもトランクポートを利用できます。現在の一般的なイーサネットポートは、ほとんどIEEE802.1Qに対応しています。

ホストでもトランクポートの考え方は同じです。VLANごとにポートを分割できます。物理的には1つのイーサネットポートをVLANごとに複数に分割し、分割したイーサネットポートにIPアドレスを設定してそれぞれのVLANに対応したTCP/IPネットワークに接続させることができます。次の図は、サーバでトランクポートを利用している例です。

サーバでのトランクポートの利用例
図 サーバでのトランクポートの利用例

L2SW1のトランクポート(ポート8)とサーバを接続しています。サーバのイーサネットポートがIEEE802.1Qに対応していればVLANごとにイーサネットポートを分割できます。L2SW1でVLAN10とVLAN20の2つのVLANを作成しているので、サーバでもVLAN10のイーサネットポートとVLAN20のイーサネットポートの2つに分割します。そして、それぞれのイーサネットポーにIPアドレスを設定することができます。VLAN10は192.168.10.0/24と対応付けているので、VLAN10のイーサネットポートには192.168.10.100/24のIPアドレスを設定しているという例です。また、VLAN20は192.168.20.0/24に対応づけているので、VLAN20のイーサネットポートには192.168.20.100/24というIPアドレスを設定しています。

すると、サーバのネットワーク接続は物理的には1つのイーサネットポートですが、VLAN10 192.168.10./24とVLAN20 192.168.20.0/24の2つのネットワークに接続していることになります。

Windows PCでのトランクポート(Realtek)

Windows OSは標準でこのようなイーサネットポートをトランクポートとして分割するような設定はできません。イーサネットポートのベンダの管理ツールを利用することで、イーサネットポートをトランクポートとして、複数に分割します。

一般的なデスクトップPCでよく利用されているRealtekのイーサネットポートでトランクポートとして、イーサネットポートを分割する手順を解説します。

この手順でイーサネットポートを分割すると、通信できなくなります。接続先のレイヤ2スイッチで適切なトランクポートの設定をしてください。
Realtek以外のイーサネットポートの場合は、それぞれのベンダのWebサイトで同様の管理ツールを探してください。

Step1.管理ツールのダウンロード

RealtekのWebサイトから「Diagnostic Program」をダウンロードします。

https://www.realtek.com/ja/component/zoo/category/network-interface-controllers-10-100-1000m-gigabit-ethernet-pci-express-software

Step2.管理ツールのインストール

ダウンロードした管理ツールをインストールします。

Step3.管理ツールを起動

管理ツールを起動すると、次のような画面が表示されます。

Step4.VLANの追加

[VLAN]を選択して、[追加]をクリックします。追加したいVLANのVLAN IDを入力します。VLAN IDに対応したイーサネットポートがあらたに作成されます。

Step5.分割されたイーサネットポートの確認

管理ツール上でVLAN IDが追加されていることを確認します。

そして、Windows上で新しいイーサネットポートが認識されるようになります。[コントロールパネル]→[ネットワークとインターネット]→[ネットワーク接続]でRealtek Virtual Adapterのイーサネットポートが表示されるようになります。

Step6.分割したイーサネットポートのTCP/IP設定

分割したイーサネットポートのTCP/IPv4プロパティから、VLAN10のネットワークで適切なIPアドレスなどTCP/IPの設定をすれば完了です。このイーサネットポートはVLAN10のVLANタグが付加されているイーサネットフレームを送受信することになります。

VLAN(Virtual LAN)の仕組み