目次
Bidirectional PIMの設定
Bidirectional PIMの設定は、通常のPIM-SMの設定にほんの少し追加するだけです。ほんの少し追加する設定は、次の通りです。
- Bidirectional PIMの有効化
- RPアドレスの設定にbidirオプションをつける
Bidirectional PIMを有効化するには、グローバルコンフィグレーションモードで次のコマンドを利用します。
(config)#ip pim bidir-enable
そして、Bidirectional PIMでルーティングしたいマルチキャストグループのRPアドレスの設定でbidirオプションを付加します。スタティック、またはAuto RP/BSRでのRPの設定で次のようにbidirオプションを指定することができます。
(config)#ip pim rp-address < ip-address >[< acl >] bidir
(config)# ip pim send-rp-announce <interface> scope [group-list <ACL>] [interval <second>] bidir
(config)#ip pim rp-candidate < interface > [group-list < ACL >] [interval < second >] [priority < value >] bidir
こうして設定したRPアドレスのマルチキャストグループに対してBidirectional PIMによるマルチキャストパケットのルーティングができるようになります。
通常のPIM-SMの設定と確認コマンドについて、以下の記事をご覧ください。
Bidirectional PIMの設定例(スタティックRP)
スタティックRPのBidir-PIMの簡単な設定例は次の通りです。
Bidirectional PIMの確認
Bidirectional PIMの確認するには、show ip pim rp mappingでRPアドレスを確認します。Bidirectional PIMのRPアドレスには「bidir」と表示されるようになります。
show ip pim rp mapping
R1-PIM#show ip pim rp mapping PIM Group-to-RP Mappings Group(s) 239.1.1.1/32 RP 4.4.4.4 (?), v2, bidir Info source: 2.2.2.2 (?), via bootstrap, priority 0, holdtime 210 Uptime: 00:07:21, expires: 00:02:29
また、RPアドレスに対するDFの確認は、show ip pim interface df [ < rp-address >]コマンドで行います。出力例は次の通りです。
show ip pim interface df < rp-address >
R1-PIM#show ip pim interface df 4.4.4.4 * implies this system is the DF Interface RP DF Winner Metric Uptime FastEthernet0/1.1 4.4.4.4 *172.16.1.1 4 00:11:26 FastEthernet0/1.12 4.4.4.4 172.16.12.2 3 00:11:26
そして、Bidirectional PIMにおけるディストリビューションツリーの例は次のようになります。
R6-PIM#show ip mroute 239.1.1.1 ~省略~ (*, 239.1.1.1), 00:13:49/00:02:57, RP 4.4.4.4, flags: BC Bidir-Upstream: FastEthernet0/1.56, RPF nbr 172.16.56.5 Outgoing interface list: FastEthernet0/1.6, Forward/Sparse, 00:12:49/00:02:14 FastEthernet0/1.56, Bidir-Upstream/Sparse, 00:12:50/00:00:00
この表示例のように、show ip mrouteの出力でBidirectional PIMが有効なマルチキャストグループについては、RPFインタフェース(Incoming Interface)は「Bidir-Upstream」と表示されます。
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