ルート制御の問題 オフセットリストの利用【CCIEレベル】

(所属カテゴリー:IPルーティング | シスコ---投稿日時:2009年10月 2日)

オフセットリストの概要

オフセットリストは、ルータが送受信するルート情報のメトリックを加算する機能です。RIPやEIGRPのディスタンスベクタ系ルーティングプロトコルで利用できます。ルータ間でLSAを交換するOSPFでは、オフセットリストを利用することができません。

RIPやEIGRPでインタフェースからルート情報を送受信するタイミングで特定のルートのメトリック値を加算することが可能です。
オフセットリストの設定は、ルーティングプロトコルのコンフィグレーションモードで行います。コマンド構文は以下の通りです。

Router(config-router)#offset-list ‹ACL› {in|out} ‹offset› [‹interface›]

‹ACL›:標準アクセスリスト番号、または名前付きの標準アクセスリスト名です。
アクセスリストでpermitされたルート情報がメトリック追加の対象です。
{in|out}:メトリックを加算するタイミングの指定です。
‹offset›:加算するメトリック値です。
‹interface›:インタフェースの指定。省略すると全インタフェースが対象です。

そして、オフセットリストの適用を確認するには、show ip protocolsコマンドを利用します。また、ルーティングテーブルやEIGRPトポロジーテーブルなどでもオフセットリストの確認ができます。

オフセットリストを利用した設定

メールマガジンVol.1007 「ルート制御の問題【CCIEレベル】 のネットワーク構成をあらためて載せておきます。

route_control01.jpg
図 ネットワーク構成

オフセットリストを利用して、R1で192.168.23.0/24のルートとしてR3を優先するようにします。オフセットリストの利用では、R1だけでの設定では実現できません。オフセットリストでは、ルート情報の送信元による制御ができないからです。Vol.1007での条件は満足できませんが、オフセットリストを利用するには、R2で設定します。R2からR1へルートを送信するときに、オフセットリストで192.168.23.0/24のメトリックを加算します。
R2でのオフセットリスト設定のコマンドは次のようになります。

R2 オフセットリストの設定
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
access-list 1 permit 192.168.23.0

router eigrp 1
 offset-list 1 out 100 FastEthernet0/0.123
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この設定により、R2はFastEthernet0/0.123から送信する192.168.23.0/24のメトリックに100を加算します。オフセットリスト設定後、R2でshow ip protocolsは次のように表示されます。

R2 show ip protocols(オフセットリストの設定)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
R2#show ip protocols
Routing Protocol is "eigrp 1"
  Outgoing update filter list for all interfaces is not set
  Incoming update filter list for all interfaces is not set
  Outgoing routes in FastEthernet0/0.123 will have 100 added to metric if on list 1
  Default networks flagged in outgoing updates
  Default networks accepted from incoming updates
  EIGRP metric weight K1=1, K2=0, K3=1, K4=0, K5=0
  EIGRP maximum hopcount 100
  EIGRP maximum metric variance 1
  Redistributing: eigrp 1
  EIGRP NSF-aware route hold timer is 240s
  Automatic network summarization is not in effect
  Maximum path: 4
  Routing for Networks:
    192.168.0.0/16
  Routing Information Sources:
    Gateway         Distance      Last Update
    192.168.123.3         90      00:22:41
    192.168.123.1         90      00:01:34
    192.168.23.3          90      00:22:41
  Distance: internal 90 external 170
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その結果、R1では192.168.23.0/24のルートとしてR3(192.168.123.3)をネクストホップとするルートのみがルーティングテーブルに登録されます。

R1 show ip route
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
R1#show ip route
Codes: C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
       D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
       N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
       E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
       i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
       ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
       o - ODR, P - periodic downloaded static route

Gateway of last resort is not set

C    192.168.123.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0.123
D    192.168.23.0/24
           [90/30720] via 192.168.123.3, 00:01:10, FastEthernet0/0.123
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

R1のEIGRPトポロジーテーブルを見ると、R2から受信する192.168.23.0/24のAD(Advertised Distance)がR3のものより100増えていることがわかります。そのためR3から受信するルートがサクセサとなっています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
R1#show ip eigrp topology
IP-EIGRP Topology Table for AS(1)/ID(192.168.123.1)
Codes: P - Passive, A - Active, U - Update, Q - Query, R - Reply,
       r - reply Status, s - sia Status

P 192.168.123.0/24, 1 successors, FD is 28160
        via Connected, FastEthernet0/0.123
P 192.168.23.0/24, 1 successors, FD is 30720
        via 192.168.123.3 (30720/28160), FastEthernet0/0.123
        via 192.168.123.2 (30820/28260), FastEthernet0/0.123
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

こうしたオフセットリストは、かなり古くからサポートされているコマンドです。そのせいか、あんまり細かい制御ができない面もあります。たとえば、ルートの送信元の指定ができません。また、オフセットリストの対象をネットワークアドレスのみで決めています。
もっと細かい制御を行うために、ルートマップを利用することができます。IOS 12.4からディストリビュートリストにルートマップを適用することが可能です。ルートマップであれば、ルートの送信元やサブネットマスクも含めたルートの指定を行った上で、メトリックの変更が可能です。

次回、ディストリビュートリストにルートマップを適用して、メトリックを変更する例について解説します。

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