VRFとは
VRF(Virtual Routing & Forwarding instance)とは、ルータを仮想的に分割する技術です。主にMPLS-VPNを構成するPEルータで利用している技術です。なお、MPLSと関係なくルータを仮想的に分割することをVRF-Liteと呼んでいます。
VRFによって、ルータ内に新しく個別のルーティングコンテクストを持つVRFインスタンスを作成できます。ルーティングコンテクストとは、ルーティングテーブルやインタフェースをはじめとするルーティングに必要な一連の要素を意味しています。簡単に言えば、ルーティングテーブルとインタフェースと考えるとわかりやすいでしょう。
VRFを作成して、VRFにインタフェースを割り当てると独立したルーティングテーブルを持つ仮想的なルータとして扱うことができます。

VRFの用途
VRF同士は独立しているので、IPパケットのルーティングを分離することができます。これにより、レイヤ3レベルのVPNサービスを提供することができます。
以下の図は、レイヤ3のVPNサービスの概要です。

キャリアネットワークにA社とB社のそれぞれ2つずつの拠点が接続されています。VRFによって、A社とB社用に仮想的にルータを準備します。これにより、A社の拠点間およびB社の拠点間のみが通信可能とします。
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