目次
ネットワーク構成
設定概要
各ルータのEIGRPに関連する設定は次のとおりです。
R1
interface Ethernet0/0 ip address 192.168.12.1 255.255.255.0 ! interface Ethernet0/1 ip address 192.168.21.1 255.255.255.0 ! interface Serial1/0 ip address 192.168.14.1 255.255.255.0 encapsulation ppp ! router eigrp 1 network 192.168.12.0 network 192.168.14.0 network 192.168.21.0 no auto-summary
R2
interface Loopback0 ip address 192.168.2.2 255.255.255.0 ! interface Ethernet0/0 ip address 192.168.12.2 255.255.255.0 ! interface Ethernet0/1 ip address 192.168.21.2 255.255.255.0 ! interface Ethernet0/2 ip address 192.168.23.2 255.255.255.0 ! router eigrp 1 network 192.168.2.0 network 192.168.12.0 network 192.168.21.0 network 192.168.23.0 no auto-summary
R3
interface Ethernet0/0 ip address 192.168.23.3 255.255.255.0 ! interface Ethernet0/1 ip address 192.168.34.3 255.255.255.0 ! router eigrp 1 network 192.168.3.0 network 192.168.23.0 network 192.168.34.0 no auto-summary
R4
interface Ethernet0/0 ip address 192.168.34.4 255.255.255.0 ! interface Serial1/0 ip address 192.168.14.4 255.255.255.0 encapsulation ppp ! router eigrp 1 network 192.168.14.0 network 192.168.34.0 no auto-summary
問題
R1のルーティングテーブルに192.168.2.0/24のルートが次のように登録されるようにしてください。なお、このための設定はR1でのみ行なってください。また、メトリックの値そのものは例と異なっていても問題ありません。
R1#show ip route eigrp ~省略~ D 192.168.2.0/24 [90/439600] via 192.168.21.2, 00:03:05, Ethernet0/1 [90/2349056] via 192.168.14.4, 00:03:05, Serial1/0 [90/439600] via 192.168.12.2, 00:03:05, Ethernet0/0 ~省略~
解答
R1
router eigrp 1 variance 6 offset-list 2 in 30000 Ethernet0/0 offset-list 2 in 30000 Ethernet0/1 ! access-list 2 permit 192.168.2.0
ワンポイント
- EIGRPではあらかじめバックアップ経路としてフィージブルサクセサを選定する
- フィージブルサクセサの条件
サクセサのFD > フィージブルサクセサのAD - EIGRPの不等コストロードバランスは、varianceコマンドによってフィージブルサクセサをルーティングテーブルに登録する
解説
R1のルーティングテーブルに192.168.2.0/24のルートを登録するためには、不等コストロードバランスの設定が必要です。EIGRPでは、不等コストロードバランスによって、メトリックが異なる複数のルートをルーティングテーブルに登録することができます。ただし、不等コストロードバランスでメトリックが大きいルートをルーティングテーブルに登録するのは、フィージブルサクセサでなければいけないことに注意してください。
不等コストロードバランスにより、R1では192.168.2.0/24のルートとしてR2経由だけでなくR4経由のものもルーティングテーブルに登録しようとしています。そのためには、R4は192.168.2.0/24に対するフィージブルサクセサでなければいけません。R1での192.168.2.0/24のメトリック(FD)は409600です。一方、R4では192.168.0.2/32に対するメトリック(FD)は435200です。つまり、R4はR1よりも192.168.2.0/24から遠くに位置していることになります。そのため、R1はR4経由の192.168.2.0/24のルートがループフリーであることを保証できずに、フィージブルサクセサとしてR4を利用できません。フィージブルサクセサとなる条件は、サクセサのFD > フィージブルサクセサのADである必要があります。
フィージブルサクセサでなければ、varianceをいくら大きくしてもルーティングテーブルには登録されません。そこで、R1にとって192.168.2.0/24のフィージブルサクセサとしてR4を利用できるように、R1のFDを大きくしてvarianceコマンドを設定します。
R1
router eigrp 1 variance 6 offset-list 2 in 30000 Ethernet0/0 offset-list 2 in 30000 Ethernet0/1 ! access-list 2 permit 192.168.2.0
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