OSPFルータ同士の2種類の関係

OSPFではルータ同士の関係として、以下の2つがあります。

  • ネイバー(neighbor)
  • アジャセンシー(adjacency)

OSPFの仕組みを知る上で、この2種類のOSPFルータ同士の関係をしっかりと理解しておきましょう。

ネイバー(neighbor)

ネイバーは同一ネットワーク上のOSPFルータとの間の関係です。OSPFでは、Helloパケットによってまずネイバーを発見します。

アジャセンシー(adjacency)

アジャセンシーとは、LSAを交換するOSPFルータ間の関係です。アジャセンシーは、ネイバーであることが前提で、ネイバーのうちの特殊なものがアジャセンシーです。

図 ネイバーとアジャセンシー
図 ネイバーとアジャセンシー

ネットワークタイプとネイバー/アジャセンシー

ネイバーとアジャセンシーを考えるときに、わかりにくくなってしまうのが、ネイバーがすなわちアジャセンシーになるとは限らないということです。OSPFのネットワークタイプによって異なります。

OSPFネットワークタイプとは、OSPFが有効なインタフェースの分類です。主なネットワークタイプは以下の通りです。

  • BROADCAST
  • POINT_TO_POINT
  • NON_BROADCAST
  • POINT_TO_MULTIPOINT

OSPFを有効にしたインタフェースによって、デフォルトのネットワークタイプが決まります。

インタフェースの種類OSPFネットワークタイプ
イーサネットBROADCAST
ポイントツーポイントPOINT_TO_POINT
フレームリレー/ATMのメジャーインタフェースNON_BROADCAST
表 デフォルトのネットワークタイプ
明示的に設定しない限り、POINT_TO_MULTIPOINTのネットワークタイプになることはありません。

フレームリレー/ATMを利用することは、もうほとんどありません。そのため、ネットワークタイプとしては、BROADCASTとPOINT_TO_POINTだけ知っておけば十分です。POINT_TO_POINTは、同一ネットワーク上に2台のOSPFルータだけが接続されています。そのため、POINT_TO_POINTでは、ネイバーすなわちアジャセンシーです。一方、BROADCASTは、同一ネットワーク上に2台以上のOSPFルータが接続されます。ネイバーすなわちアジャセンシーとは限りません。

図 ネットワークタイプとネイバー/アジャセンシー
図 ネットワークタイプとネイバー/アジャセンシー

DR/BDRの概要

イーサネットのようなBROADCASTのネットワーク上では、DR/BDRとの間でアジャセンシーの関係になります。DRおよびBDRは、イーサネットのようなBROADCASTのネットワークタイプとなるネットワーク上で効率よくLSDBの同期を取るために選ばれるルータです。

同じイーサネットネットワーク上にR1~R4という4台のOSPFルータが接続されている例を考えます。R1をDRとすると、R1との間の関係がネイバーかつアジャセンシーです。R2~R4はR1とLSAを交換します。それ以外は、単なるネイバーです。たとえば、R2とR3は単に同じネットワーク上に接続されているOSPFルータというネイバーの関係だけで、LSAの交換を行いません。

図 DRとの間がアジャセンシー
図 DRとの間がアジャセンシー
上記の図では、BDRを省略しています。

まとめ

ポイント

  • OSPFルータ同士の関係には「ネイバー」と「アジャセンシー」があります。
  • ネイバーは同じネットワーク上のOSPFルータとの間の関係です。
  • アジャセンシーはLSAを交換するルータとの間の関係です。
  • ネットワークタイプによっては、ネイバーがすなわちアジャセンシーになるとは限りません。

OSPFの仕組み