OSPFルータの種類
OSPFネットワークをエリアに分割することによって、各エリアに含まれるOSPFルータやエリアとエリアを接続するルータは、次のように分類されます。
- 内部ルータ
- バックボーンルータ
- エリア境界ルータ(Area Border Router : ABR)
- 自律システム境界ルータ(Autonomous System Boundary Router)
内部ルータ
すべてのインタフェースが同じエリアに所属しているルータを内部ルータと呼びます。すべてのインタフェースがバックボーンエリアに所属するルータは次に紹介するバックボーンルータでもあり、内部ルータでもあります。
バックボーンルータ
バックボーンエリアに所属しているインタフェースを少なくともひとつ持つルータをバックボーンルータと呼びます。エリア境界ルータは、バックボーンエリアとその他のエリアを接続することから、バックボーンルータでもあります。
エリア境界ルータ(Area Border Router : ABR)
複数のエリアに所属するインタフェースを持ち、エリアを相互接続するルータをエリア境界ルータ(ABR)と呼びます。エリアごとにリンクステートデータベースを持ち、エリアごとにリンクステート情報をやり取りしています。各エリアは、原則としてバックボーンエリアに隣接していなければいけないので、ABRはバックボーンエリアのリンクステートデータベースとその他のエリアのリンクステートデータベースを個別に保持していることになります。また、ABRは、エリアの出口でもあり入り口でもあります。あるエリアから他のエリアへパケットを転送するためには必ずABRを経由し、他のエリアからエリア内にパケットを転送するためにも必ずABRを経由します。ABRは、OSPFルート情報のアドバタイズと実際のパケット転送でとても重要な役割を果たします。
さらに、ABRは別のエリアのルート情報を集約してエリア内にアドバタイズすることができます。
関連記事
自律システム境界ルータ(Autonomous System Boundary Router)
OSPFでルーティングを行うネットワーク(OSPFドメイン)とスタティックルートやRIP/EIGRP/BGPなどOSPF以外のルーティングを行うネットワーク(非OSPFドメイン)の境界に位置するルータが自律システム境界ルータ(ASBR)です。
ASBRは、OSPF以外のルーティングプロセスからOSPFへ再配送の設定を行っているルータです。非OSPFドメインのルートをOSPFへ再配送して、OSPFネットワークへアドバタイズします。なお、通信は双方向なので、ASBRはOSPFルートを非OSPFドメインへ再配送することも必要です。
関連記事
再配送について、以下の記事で詳しく解説しています。

OSPFの仕組み
- OSPFとは? 初心者にもわかりやすくOSPFの特徴を解説
- OSPFの処理の流れ
- OSPFルータID ~OSPFルータを識別~
- OSPFルータのルータIDが重複してしまったら?
- OSPF ネイバーとアジャセンシー
- OSPF DR/BDR
- イーサネット上のshow ip ospf neighborの見え方
- OSPFネットワークタイプ ~OSPFが有効なインタフェースの分類~
- OSPF LSDBの同期処理
- 大規模なOSPFネットワークの問題点
- OSPFエリア ~エリア内は詳しく、エリア外は概要だけ~
- OSPFルータの種類
- OSPF LSAの種類
- OSPF エリアの種類
- OSPFの基本的な設定と確認コマンド [Cisco]
- インタフェースでOSPFを有効化することの詳細
- OSPF ループバックインタフェースのアドバタイズ
- OSPF Hello/Deadインターバルの設定と確認コマンド
- OSPFコストの設定と確認
- OSPFルータプライオリティの設定と確認コマンド
- OSPFネイバー認証の設定 ~正規のルータとのみネイバーになる~
- バーチャルリンク上のネイバー認証
- OSPF スタブエリアの設定と確認[Cisco]
- OSPF スタブエリアの設定例 [Cisco]
- OSPFデフォルトルートの生成 ~default-information originateコマンド~
- OSPFデフォルトルートの生成 ~スタブエリア~
- OSPF バーチャルリンク ~仮想的なエリア0のポイントツーポイントリンク~
- OSPF バーチャルリンクの設定と確認 [Cisco]
- OSPF バーチャルリンクの設定例 [Cisco]
- OSPF 不連続バックボーンのVirtual-link設定例
- OSPFのルート集約と設定
- OSPFルート集約の設定例(Cisco)
- OSPF ルート種類による優先順位
- OSPFネイバーの状態がExstartでスタックする原因
- OSPFパケットの種類とOSPFヘッダフォーマット
- OSPF Helloパケット
- OSPF DD(Database Description)パケット
- OSPF LSR(Link State Request)パケット
- OSPF LSU(Link State Update)パケット
- OSPF LSAck(Link State Acknowledgement)パケット
- OSPF 再配送ルートの制限 ~redistribute maximum-prefixコマンド~
- OSPFでのディストリビュートリスト/プレフィクスリストの動作
- OSPFでのディストリビュートリストの設定例 Part1
- OSPFでのディストリビュートリストの設定例 Part2
- OSPFのLSAフィルタの概要 ~LSAタイプ3/タイプ5をフィルタ~
- LSAタイプ3のフィルタ設定例
- LSAタイプ5のフィルタ設定例
- 3階層モデルLANのOSPFルーティング
- 演習:実践的なOSPFルーティング Part1:OSPFの基本設定
- 演習:実践的なOSPFルーティング Part2:デフォルトルートの生成
- 演習:実践的なOSPFルーティング Part3:スタブエリア
- 演習:実践的なOSPFルーティング Part4:ルート集約
- 演習:実践的なOSPFルーティング Part5:トラブルシューティング
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part1
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part2
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part3
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part4
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part5
- OSPF 設定ミスの切り分けと修正 Part6
- Cisco OSPFv3 for IPv4の設定と確認コマンド
- Cisco OSPFv3 for IPv4の設定例
- OSPFv3の設定例 [Cisco]
- OSPFv3 ルート集約の設定例 [Cisco]