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DR/BDRとアジャセンシーになる
イーサネットのようなマルチアクセスネットワークでは、DR/BDRを選出します。そして、DR/BDRとアジャセンシーとなりLSDBを同期します。イーサネット上の4台のCiscoルータでOSPFを設定して、DRとのみアジャセンシーになっていることを確認します。
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ネイバーとアジャセンシー、DR/BDRについて、以下の記事をご覧ください。
ネットワーク構成

R1がDRとなるようにします。話を簡単にするために、BDRは選出しません。R2~R4でルータプライオリティを0にします。
設定
各ルータのOSPFに関する設定は以下の通りです。
R1
interface FastEthernet0/0 ip address 192.168.1.1 255.255.255.0 ip ospf priority 100 ! router ospf 1 router-id 1.1.1.1 log-adjacency-changes network 192.168.1.1 0.0.0.0 area 0
R2
interface FastEthernet0/0 ip address 192.168.1.2 255.255.255.0 ip ospf priority 0 ! router ospf 1 router-id 2.2.2.2 log-adjacency-changes network 192.168.1.2 0.0.0.0 area 0
R3
interface FastEthernet0/0 ip address 192.168.1.3 255.255.255.0 ip ospf priority 0 ! router ospf 1 router-id 3.3.3.3 log-adjacency-changes network 192.168.1.3 0.0.0.0 area 0
R4
interface FastEthernet0/0 ip address 192.168.1.4 255.255.255.0 ip ospf priority 0 ! router ospf 1 router-id 4.4.4.4 log-adjacency-changes network 192.168.1.4 0.0.0.0 area 0
show ip ospf neighborの表示
R1
DRであるR1でshow ip ospf neighborを表示します。
R1 show ip ospf neighbor
R1#show ip ospf neighbor Neighbor ID Pri State Dead Time Address Interface 3.3.3.3 0 FULL/DROTHER 00:00:39 192.168.1.3 FastEthernet0/0 2.2.2.2 0 FULL/DROTHER 00:00:39 192.168.1.2 FastEthernet0/0 4.4.4.4 0 FULL/DROTHER 00:00:39 192.168.1.4 FastEthernet0/0
R1はR2、R3、F4との間でアジャセンシーを確立していて、FULL状態になっていることがわかります。FULL状態はLSDBの同期をとっている状態です。
R2
R2 show ip ospf neighbor
R2#show ip ospf neighbor Neighbor ID Pri State Dead Time Address Interface 4.4.4.4 0 2WAY/DROTHER 00:00:39 192.168.1.4 FastEthernet0/0 1.1.1.1 100 FULL/DR 00:00:39 192.168.1.1 FastEthernet0/0 3.3.3.3 0 2WAY/DROTHER 00:00:39 192.168.1.3 FastEthernet0/0
R2のshow ip ospf neighborを見ると、DRであるR1とのみアジャセンシーを確立していてFULL状態になっています。R3、R4との間は単なるネイバーなので2WAY状態です。
R3
R3 show ip ospf neighbor
R3#show ip ospf neighbor Neighbor ID Pri State Dead Time Address Interface 2.2.2.2 0 2WAY/DROTHER 00:00:39 192.168.1.2 FastEthernet0/0 4.4.4.4 0 2WAY/DROTHER 00:00:39 192.168.1.4 FastEthernet0/0 1.1.1.1 100 FULL/DR 00:00:39 192.168.1.1 FastEthernet0/0
R3では、R2と同様です。DRであるR1とアジャセンシーを確立して、FULL状態です。
R4
R4 show ip ospf neighbor
R4#show ip ospf neighbor Neighbor ID Pri State Dead Time Address Interface 3.3.3.3 0 2WAY/DROTHER 00:00:31 192.168.1.3 FastEthernet0/0 2.2.2.2 0 2WAY/DROTHER 00:00:31 192.168.1.2 FastEthernet0/0 1.1.1.1 100 FULL/DR 00:00:31 192.168.1.1 FastEthernet0/0
R4もR2およびR3と同様です。DRであるR1とアジャセンシーを確立して、FULL状態です。
ネイバーとアジャセンシーのまとめ
R1~R4のルータ間でネイバーとアジャセンシーの関係をまとめます。
関係 | ルータ間 |
ネイバー(2WAY) | R2-R3、R2-R4、R3-R4 |
アジャセンシー(FULL) | R1-R2、R1-R3、R1-R4 |

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